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第二章
23旅は道連れ
しおりを挟む 4月3日になった。今日は一狼の54歳の誕生日だ。
青夜はちゃんと朝食時に高級腕時計をプレゼントした。
「ありがとう、青夜。でも、これ、高かっただろ? 誰が買ったんだい?」
「お金の出所はアンだけど、ちゃんとオレが選んだから安心してね」
「あのねぇ~。だったら、『肩叩き券』とか『東条院の大集会開催券』の方が助かるんだが」
「東条院とはもうオレ、無関係だから」
「でもねぇ~」
「宗家当主の命令に逆らうなんて不忠義だよ、パパ」
「・・・東条院の一党が刈り場になるよ?」
「盛者必衰だからね。東条院なんて偉そうにしてるけど安土桃山時代以降の成り上がり者だし」
その歴史は本当だ。
何せ、異能力がある世界だ。
なので、安土桃山時代の『第六天魔王』も当然、異能力者な訳で、それを封じる為に日本中の異能力者が力を結集する破目になり、その中の生き残りの30以上が家を興してる。
その1つが中国から伝来した青龍拳の使い手の東条院だった。
「だけどねぇ~」
一狼はどうにか説得を試みたが嫡子の青夜に遠慮して説得する事は出来なかった。
この日も青夜詣でだ。
いい加減、青夜はうんざりだったが無視した。
重要なのは明日だ。
青夜の16歳の誕生日。
東条院宗家から田中家へ養子に出されてるし、もう問題はないはずだが、警戒して田中の家から青夜はその日、一歩も出なかった。
東条院の宗家屋敷の情報は皇宮警察の異能部隊勤務の長女の弥生経由で逐一入ってくる。
東条院の宗家屋敷を邪気で汚染して、その場に居合わせた全員に呪いを掛けたのは中国系の新開発された無差別異能兵器らしい。
まあ、多分、嘘だが。
東条院の宗家屋敷に中国系の兵器が例え内通者が居ても持ち込める訳がない。
絶対に引っ掛かる。
兵器は人だった?
あり得ない。あれだけの邪気の高まりなんて。
「青夜、犯人に心当たりはないの? 警視庁と自衛隊の異能捜査チームはお手上げらしく皇宮警察まで噛む破目になったんだけど」
夜、仕事帰り直後でスーツを脱いだブラウス姿の弥生に聞かれた。
「案外、オレが養子に出された事による白鳳院や二千院の報復だったりして」
「真面目に質問してるのよ、こっちは?」
「東条院を落としたのが木っ端組織なんて誰も信じませんから、それくらいのビッグネームが絡んでるんじゃないですか?」
「青夜は噛んでないのね?」
「ええ、もちろん」
「信用出来ない顔よねぇ~」
「いやいや、マジですって。白鳳院の当主代理様にもそう答えましたし。って聞いてましたよね、あの時の会話?」
「まあね」
盗聴は白鳳院枢の護衛の為だ。皇宮警察の異能部隊として何の問題もない。
「さすがのオレも白鳳院の次代様に嘘なんてつきませんよ。白鳳院への証言は術式が施された起請文や異能力者裁判所の宣誓よりも縛りがキツイんですから」
「なら、誰が黒幕なのかしら?」
「さあ、分かったら教えて下さいね。狩りますから」
そう青夜は嘘臭い笑顔で微笑んだのだった。
青夜はちゃんと朝食時に高級腕時計をプレゼントした。
「ありがとう、青夜。でも、これ、高かっただろ? 誰が買ったんだい?」
「お金の出所はアンだけど、ちゃんとオレが選んだから安心してね」
「あのねぇ~。だったら、『肩叩き券』とか『東条院の大集会開催券』の方が助かるんだが」
「東条院とはもうオレ、無関係だから」
「でもねぇ~」
「宗家当主の命令に逆らうなんて不忠義だよ、パパ」
「・・・東条院の一党が刈り場になるよ?」
「盛者必衰だからね。東条院なんて偉そうにしてるけど安土桃山時代以降の成り上がり者だし」
その歴史は本当だ。
何せ、異能力がある世界だ。
なので、安土桃山時代の『第六天魔王』も当然、異能力者な訳で、それを封じる為に日本中の異能力者が力を結集する破目になり、その中の生き残りの30以上が家を興してる。
その1つが中国から伝来した青龍拳の使い手の東条院だった。
「だけどねぇ~」
一狼はどうにか説得を試みたが嫡子の青夜に遠慮して説得する事は出来なかった。
この日も青夜詣でだ。
いい加減、青夜はうんざりだったが無視した。
重要なのは明日だ。
青夜の16歳の誕生日。
東条院宗家から田中家へ養子に出されてるし、もう問題はないはずだが、警戒して田中の家から青夜はその日、一歩も出なかった。
東条院の宗家屋敷の情報は皇宮警察の異能部隊勤務の長女の弥生経由で逐一入ってくる。
東条院の宗家屋敷を邪気で汚染して、その場に居合わせた全員に呪いを掛けたのは中国系の新開発された無差別異能兵器らしい。
まあ、多分、嘘だが。
東条院の宗家屋敷に中国系の兵器が例え内通者が居ても持ち込める訳がない。
絶対に引っ掛かる。
兵器は人だった?
あり得ない。あれだけの邪気の高まりなんて。
「青夜、犯人に心当たりはないの? 警視庁と自衛隊の異能捜査チームはお手上げらしく皇宮警察まで噛む破目になったんだけど」
夜、仕事帰り直後でスーツを脱いだブラウス姿の弥生に聞かれた。
「案外、オレが養子に出された事による白鳳院や二千院の報復だったりして」
「真面目に質問してるのよ、こっちは?」
「東条院を落としたのが木っ端組織なんて誰も信じませんから、それくらいのビッグネームが絡んでるんじゃないですか?」
「青夜は噛んでないのね?」
「ええ、もちろん」
「信用出来ない顔よねぇ~」
「いやいや、マジですって。白鳳院の当主代理様にもそう答えましたし。って聞いてましたよね、あの時の会話?」
「まあね」
盗聴は白鳳院枢の護衛の為だ。皇宮警察の異能部隊として何の問題もない。
「さすがのオレも白鳳院の次代様に嘘なんてつきませんよ。白鳳院への証言は術式が施された起請文や異能力者裁判所の宣誓よりも縛りがキツイんですから」
「なら、誰が黒幕なのかしら?」
「さあ、分かったら教えて下さいね。狩りますから」
そう青夜は嘘臭い笑顔で微笑んだのだった。
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