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第二章
21嫌な予感~カルタside
しおりを挟む王都で行われた食の祭典にて。
ポンチョが襲われた事件を調べる内に犯人が誰かなんとなく察した。
目撃情報と、ゴロツキを雇った人物をこっそり調べたけど。
「アシュリー、これは推測なのだけど」
「いや、言わなくても良い」
まだ確証があるわけじゃない。
証拠となる目撃者や、知り合いに商業ギルドで職員として働いている友人がいるので情報を掴んだけど。
「アルミナ嬢が関わっている可能性が浮上したわ」
「だが、納得がいく」
ポンチョはシャトワール領地から来たといえど、グレーテルの事を漏らすとは考えにくい。
ならば、何らかの形で関りがあると知ったのか。
それとも知らなかったが、ポンチョが売り上げを上げるのが許せなかったか。
「両方考えられるわ」
「何処までも最低なんだ。私はもう王都の土地は売却してしまいたいよ」
「ええ」
王都にいればどんなとばっちりを受けるか解らない。
私の息子のしでかしたことだけど、アルミナ嬢と関わる事で周りは不幸になる。
いいえ、アルミナ嬢以上に疫病神と思っているのはアミカ夫人だわ。
本当にグレース夫人と姉妹なのか疑いたくなる。
元々彼等は貧しい男爵夫妻だった。
対するグレース夫人は一代で爵位を得て女伯爵まで上り詰めた。
けれど、体が弱く。
十五年前に亡くなられた後に妹であるアミカがすべての財産を引き継いだ。
莫大な遺産ともう一つ。
今住んでいる邸も土地も全てグレース夫人が亡くなる直前にアミカに譲ったと聞く。
オクレール伯爵は婿養子だったから権利はアミカにあるけど。
領地代行の事は何も解らないから夫に丸投げという形になっているけど、不可解な点が多すぎる。
グレース夫人が亡くなった理由は持病とアレルギー性によるものだと聞くけど。
葬儀も身内だけで行われていたとか。
「オクレール家に何かある」
「私は引き続き調査を続けます。ですが…」
「グレーテル様だな」
これ以上オクレール家の事で傷ついて欲しくない。
王都に行ったとしても顔をわせる事はそうそうないでしょうけど。
「確率は少ないんだ。会う事はない」
「ええ、今は王族の親族になるお方ですもの」
後の侯爵夫人となり、現在は先王陛下の義姪となる方。
身分が違い過ぎるしそう簡単に鉢合わせになるなんて事はない。
だけど、私は甘く見過ぎていた。
常識を弁えないアルミナと、常に予測できない行動をするグレーテルを侮り過ぎていた。
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