身代わりで鬼姑と鬼小姑の元に嫁ぎましたが幸せなので二度と帰りません!

ユウ

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第二章

18嫌がらせ

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黒猫一派の料理番見習いのポンチョは最年少で少し内気な性格であるが料理に対する情熱は誰よりも素晴らしかった。


彼は生まれてすぐに捨てられていた所をロレンツさんが拾って育てて我が子のように接していたが、裏ギルドの仕事には不向きだった。


彼等はギルドの秩序を守るべく時にはスパイのような仕事や用心棒もしているからだ。
対するポンチョは優し過ぎる。


だからこそ、自分の手を汚す仕事はしないで欲しいという黒猫一派の願いで料理番をしていたとか。


私もポンチョがどれだけ優しいか知っている。
特に接客に関してはシアンよりもすごいのだから。


「どうして…何があったの!」

「すいません、俺がついてながら」

同行していた黒猫一派の皆が頭を下げる。


「お前達、一体何が…」

「貴族の奴等だ!」

「そうだ!あの女がポンチョに嫌がらせを!」


聞けば食の祭典に参加したポンチョはその日お客様に喜んでもらえるように出店でソーセージとエールを売ってその日は一番の売り上げとなった。

闘争心はないポンチョだが、できるだけ多くの人に喜んで欲しくて。
出店で買えない人にもできるだけ多く渡るように。

特に子供連れのお客様を最優先していた。


しかしそこで問題が生じた。
食の祭典に参加していた貴族がいたらいしい。

その貴族は商会を営んでおり、シャトワール領地がきっかけに他国でもグルメブームになった。


店は隣で、相手は高級食材をを使ったA級。
別名A級グルメと言われる料理を振る舞い、出店も高級レストラン風だったらしい。


しかし外で出店として出店するには問題がる。
対するポンチョはウィンナーを使ったできたての物を提供する。

外は寒く、僅かな温度でバターは固まる。
設備が整っておらず、少しの風や雪で料理は台無しになる。

しかも寒い中、お客様は待たされれば帰ってしまう。


「嫌がらせをした貴族が出していた店は高級志向だとか言って、商人でも金を持っている奴以外は売らなかったり、他の店の事を悪く言っていたんです」


「ポンチョは何も言わんへんかった」

「なのに!」

「売り上げがポンチョの作った物が売れだすと、悪質な嫌がらせをして来たんだ」

「悪質…営業妨害ですか?」


「それだけならまだよかったんだが…」


ライバルの店に嫌がらせするとすれば悪い噂。
食事がまずい等と色々ある。


「料理にゴミが入っている。衛生管理が悪いと散々あることない事言い降らしたんだ」

「え?」

「明らかないちゃもんや。せやけど、ポンチョは誠心誠意を尽くしたんや」


お客様の前で口論なんて大問題になる。
野外での出店は多くのトラブルが発生するのも覚悟の上だった。


「だが、ポンチョの潔さを気に入ったご老人が助けてくれて。その日の売り上げは一番になった」

「その後や!あの雌豚が!」

「落ち着けミラン!」

「ポンチョを呼び出して集団で暴行を加えた時に女がいた。店で嫌がらせした女だ」




その女性は何故そこまでしたのか。

一体誰なのか。


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