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第二章
5お披露目
しおりを挟む私のお披露目式は私よりもアゼリアの方が気合十分だった。
「今日のパーティーに間違いは許されないわ。もししくじったらくれよ」
「これアゼリア!」
手で首を切る真似をするアゼリアにお兄様が真っ青だった。
「それぐらいの覚悟をするべきです。ハミルトン伯爵に泥を塗る事になりますわ」
「素直に言ったらどうだ」
「何の事ですの?」
現在まだ鶏も起きていない時間。
なのにアゼリアはハイテンションだった。
貴族の令嬢はこんなに早起きだったかな?
私は使用人としての体内時計が癖になっているから明け方には起きるのは常だったけど。
「今日のパーティーには新聞記者も多く呼んでいるわ。失敗は許されないのよ」
「解っているが…ここまでする必要は」
「叔父様!」
「はい!」
なんていうか。
日に日にアゼリアの気が強くなっている。
「ハミルトン家の恥で王家の名に泥を塗る気ですの?」
「うっ…悪かったよ」
「私の姉が侮辱されることは今後、王室の仲間入りする私にも関わることです」
そういう事か。
責任重大なのだと改めて思い知る。
そうこうしている間に招待したお客様が邸に入って来る。
「ヨーゼフ様、ご招待いただきありがとうございます」
「驚きましたぞ」
貴族階級の人だけでなく商人や官僚らしき人までも招待されていた。
しかし招待客の年齢比率は高い。
若い人が多いと思っていたら年配の人が多かった。
「こちらにいるのが…」
「お初に目にかかります。グレーテルです」
「これは、なんと美しい」
「いいえ、奥様の真珠のような肌の輝きに叶いません」
一番最初に紹介された方は王族に当たる方。
ハミルトン家の親族で懇意な関係であるシュフィベール侯爵家。
奥方は異国の皇女様と聞く。
『美しいラピスの女神のような輝きを持つ姫君と伺っておりました』
「ラピス伝説をご存じですの?それに私の祖国の言葉を流暢に話されるなんて」
「まだお若いのに、素晴らしい教育を受けているのだな」
隣にいらっしゃるのが、シュフィベール侯爵閣下。
高位貴族の皆さんは美男子がお決まりなの?
聖書の挿絵に描かれる聖人や天使のようだった。
「まったく隠しているなんて酷いじゃないか」
「仲良くして下さないな。教養高い方がいらして嬉しいわ」
「私も光栄です」
握手を交わしながら次々に、招待客に挨拶をしていたが。
「何あれ…」
「本当に、不愉快ね」
挨拶をしながら誰かに見られているような気がした。
微かに殺意を感じたのだ。
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