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第二章
4血よりも水
しおりを挟む「え?カルタ夫人が!」
明日の支度を整える最中にママンから教えられたのは、特別に招待しているお客様についてだった。
「特別にポートナム夫妻を呼んであります」
「本当ですか?」
「ええ、会いたいと言っていたでしょう?」
「はい!」
嬉しい。
あの日以来、手紙を一度やり取りをして以来だった。
「カルタ夫人には何度か手紙を頂いていましたの」
「ずっと貴女の身を案じていたのよ」
ママンとダリア様がカルタ夫人を特別に招待し、後に親しく付き合いたいと言ってくださった。
「貴女の学問の才は、彼女の教育の賜物です」
「我が家では今後、教育に関しても援助するつもりです。したがって彼女にも携わって貰いのです」
なんて素敵なのかしら!
「素晴らしいです。カルタ夫人は博学何です。慈善活動もされていて…」
「貴女の知識の多さを見て、優秀だと解っています」
「ですから明日はお披露目の後に場所を設けます」
俄然やる気が出て来た。
何としても完璧に全うしないといけないわ。
「グレーテル、貴族の令嬢は腕を捲って上腕に力を入れたりしないぞ」
「あっ…」
「グレーテルちゃん、気をつけてね」
「うっ、はい」
つい力を入れてしまった。
明日はおしとやかにしないとダメだわ。
うん、気をつけよう。
元気にしているだろうか。
お姉様と仲良くしていると良いのだけど。
明日のパーティーでそれとなく聞いてみよう。
中々眠れないでいる中、ノックの音が聞こえる。
「はい」
「グレーテル、まだ起きているのか」
「ルシウス様…」
「明日の事が心配なのか?」
無いと言ったら嘘になる。
これまでの努力が試される時なのだから。
「心配しなくて良い。君なら大丈夫だ…万一の時は」
「はい?」
「いや、何でもない。君をフォローするのが私の役目だ」
咳払いするルシウス様は顔を引きつらせていた。
もしかして不安に思っているのは私だけじゃないかもしれない。
「頑張ります」
「いや、力み過ぎなくても」
頑張り過ぎないように頑張れって事なのか?
私には少し難しい気がするのだけど。
そして運命の日を迎えた。
「お姉様」
「うん、良く似合っているよ。グレーテル」
使用人の皆が頑張ってくれたので、綺麗にドレスアップができた。
「悪くありませんわ」
「これ!」
「ですが勝負かこれからですわ!」
アゼリア、何で燃えているの?
拳を突き上げるなんて普段の貴女らしくないわ。
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