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第二章
1決戦前夜
しおりを挟む苦しい日々を耐えながらようやくこの日が来た。
「やりましたわ」
「ええ…」
涙を流すカレン先生とジルベスタ―嬢が手を取り合い涙を流していた。
「美しく痩せましたわ!」
「私の最新作を完璧に着こなしてくださって嬉しいですわ」
コルセットも苦しくない。
明日は私にとって勝負だった。
「しかし取り外しのできるリボンを取り外しできるデザインにして欲しいとおゅしゃられた時は驚きましたが」
「だって、余所行きだけじゃなくて普段にも着たいんです」
余所行き用のドレスは数回しか着ない。
同じドレスを使いまわすのは社交界ではよろしくないと言われてけど、見た目を変えれば問題ない。
「好きなお洋服は毎日でも着たいんです」
「製作者としては嬉しい言葉です。要するに普段と余所行きを使い分ける事ですわ。何より貴族の女性だけでなくし平民の皆さんにも買っていただける」
「盲点でしたわ。まさかこんな斬新なアイデアが…それに取り外しできるリボンなどを使えなば体系を隠せます」
実は、ダイエットが成功する前に服で体系を変えられないかと思った私にシアンが色々手を尽くしてくれた。
「何よりコルセットをしているとお茶が飲めないし、辛いんです」
「ええ、公の場でコルセットを緩めるわけにはまいりません。いかにコルセットをソフトにしても限度があります。ならば服に工夫をしなければ」
私の我儘をできるだけ聞いてくれて、できたファッションだ。
「靴もすごくフィットして気持ちが良い」
「通常の靴よりも安定感を出しています。ですがヒールである以上は限度がありますので」
「でもヒールで歩くと世界が違って見える」
背筋を伸ばさないと鏡で見た時見っとも無い姿になるのだから。
「これで明日の勝負は完璧と…言いたいのですが」
「ええ、お披露目でお嬢様に意地の悪い事をおっしゃる方は少なく無いでしょう」
ハミルトン伯爵家に養女に迎えられ、正式にお披露目式を行うことになった。
その三か月後に婚約式を行う事になっているのだけど。
「ハミルトン家に取り入ろうとする愚か者は多いのです」
「逆に粗探しをして弱みを握ろうとする者もいるでしょうね」
私の生い立ちを調べて来る人もいる。
ハミルトン家に養女になった私を妬む人も出てくるかもしれない。
「故に、社交界では弱みを見せてはなりませんわ」
「どうしたらいいでしょうか」
以前のお茶会でも私は粗相をしたつもりはないのだけど。
「いいですか、何を言われても笑顔です。笑顔で流してくださいませ」
「解りました」
笑顔は得意だから大丈夫だ。
うん、笑顔で挨拶すれば仲良くなれると思った私だった。
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