身代わりで鬼姑と鬼小姑の元に嫁ぎましたが幸せなので二度と帰りません!

ユウ

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第一章

38新しい家族

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ハミルトン家への養子縁組は早急に行われた。
戸籍上ではアゼリアお嬢様はヨーゼフ様の養女という事になっている。

私はアゼリアお嬢様の義姉という事になる。


「今日から一年間びっしり扱くから覚悟なさい」

「これ!グレーテルはお前の姉になるんだぞ」

「だからよ。礼儀作法もできてないなんて社交界で恥をかくわ!私の名誉に為にも嫁ぐ日までしっかり身に着けてもらうから」

「はっ…はは」


一年間淑女教育をさせられるのか?

でも、よく考えればカレン先生程厳しいはずはないと思った。






はずだった。


「歩き方は滑るようによ!」

「はいぃぃ!」

「もっと美しく優雅によ!できないなら後三時間追加よ」


甘かった。
カレン先生よりもずっと厳しかった。

とにかく厳しい。
カレン先生のレッスンが優しく思えるほどに厳しいアゼリア様のレッスンには容赦がない。





「お披露目まで時間がないわ」

「アゼリア、少し厳し過ぎないか」

「叔父様は黙っててください」

「すまない」


プリン騒動をにより、二人の関係は修復された。
今では遠慮はなく、仲睦まじい親子に見えるのだけど、アゼリア様の気の強さが前面に出ている。


元から気が強かったのだけど。



「しかしアゼリアよ。グレーテルは社交界にも出ていないのだぞ。無理を言うのではない」


「解ってます」


「マナーとは直ぐに習得できるものではない」


「できない事を私は言ってませんわ。グレーテルお義姉様はそれ程出来が悪いわけではありません」


これは褒めているのだろうか。


「まぁ物わかりは悪くありません。ええ悪くはないのです…」


「アゼリア」


褒めていると思う事にしよう。
きっと悪気はないはずと信じていたいからだ。

「今度のお披露目には王族の方も参加するわ。ひょっとしたら」

「ああ…アゼリア!私が悪かった。優しい子にどだっては私は嬉しいよ」

「ちょっと!勘違いしないでください!」


何やらヨーゼフ様は泣きながら喜び、アゼリア様は怒りながらも内心では怒っていない。


「これは喧嘩しているのかじゃれ合っているのかどっちなのか」



だけど私は知らなかった。
ハミルトン家の養女になる事は私が王族の仲間入りを果たす事になる事になる。


そして今後王宮に行くことは決定事項である事を。


もう二度と会う事がないと思った彼等が



「この家から出てちょうだい」

「母上!」

「あの女と夫婦になりたいなら親子の縁を切るわ」


幸せである事を信じて疑わなかった私は、知りもしなかった。


真実の愛を見つけたはずの二人の生活が一変して、両家の関係も最悪な状態である事に気づきもしなかった。





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