身代わりで鬼姑と鬼小姑の元に嫁ぎましたが幸せなので二度と帰りません!

ユウ

文字の大きさ
上 下
16 / 91
第一章

15この世の幸福

しおりを挟む

後日ローレンツさんから手紙と大量のビールに新作の腸詰ウィンナーが届いた。



「まぁ、なんて量でしょう」


「これ、私に?」

「はい」


すごく嬉しいけど、私一人で食べるのは申し訳ない。


「シアン、これを使用人の皆さんにおすそ分けできないかしら」

「よろしいのですか…折角ローレンツ様が特別にと」

「幸せは分け合うものよ」


一人で食べるよりも大勢で食べたほうがおいしいはずだ。

「拙宅だから外で食べたいわ」

「かしこまりました。使用人一同を呼び、バーベキューに」


屋台で食べる焼き鳥は最高だったのよね。

「そうだ。炭火にしてくれる」

「かしこまりました」



やっぱり肉を焼くのは炭が一番よね!
市場で懇意にしていた焼き鳥のおじさんが教えてくれた。




「ただいま…って、何をしているんだ」

「お帰りなさいルシウス様」

「何をしているんだ」


庭園で使用人の皆さんを巻き込みバーベキューの準備をする私達。


「グレーテルさん、何をしているの」

「ママン、黒猫組の皆さんに沢山のウィンナーを頂きましたので皆さんで美味しく頂こうかと」

「それは貴女にと」

「皆さんで食べたほう良いかと思いまして」


「いいでしょう」


ママンは何かを考え込み、傍にいる執事さんに声をかける。


「これよりシャトワール家主催のガーデンパーティーを開きます!懇意にしているギルド、商人に声をかけなさい」


「かしこまりました」


こうしてこじんまりしたガーデンパーティーは。



「これは盛大だな!」

「このソーセージ、美味いじゃないか」

「ウィンナーですわ。新しく商品開発をしましたのよ」



バーベキューを楽しみながら酒を飲む集団。


「まぁ、口の中で弾けましたわ。初めての体験ですわ」

「塩味が癖になりそう」


貴族夫人もウィンナーの味に心を奪われている。


「姉上、良くここまで」

「この私の人脈を侮って貰っては困るわ」

即興とは思えないガーデニングパーティーは盛り上がり、皆笑顔でウィンナーを食べていた。


うん、やっぱり美味しい物を食べると皆幸せになるよね。


この世で一番の幸せは美味しい物を食べる事。


私にとって幸せは美味しい物を食べる事と繋がって来た。
お腹が満たされれば、どんなに辛い事も乗り越えられるのだから。


「皆嬉しそうだな」

「はい、ウィンナーのおかげですね」

「そうだな」


幸せは皆で分け合えば倍になる。
市場でのささやかな幸福がこの領地でも共通している事が本当に嬉しいと思った。


「こんな風に他所から来た人にも食べて貰えたらいいのに」

「ウィンナーをか?」

「はい、海の向こう側から来た人にも…海の上で食べて貰えたら」


私はこの美味しいウィンナーがもっと沢山の人に食べて貰えたらと思ったのだが、この何気ない言葉が原因でとんでもない事になるなんて知る由もなかった。





しおりを挟む
感想 149

あなたにおすすめの小説

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! ★恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 日間総合ランキング2位に入りました!

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

処理中です...