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第一章
13規格外
しおりを挟む裏ギルド。
彼等は裏の世界を守るギルドらしい。
闇ギルドは異なり、彼等も治安を守る親分衆の組織の一人だと教えられた。
主に牛耳っているのは酒場で、黒猫組の親分のローレンツさん。
表社会で生きれない訳ありや前科持ちの人を子分として迎えているらしいのだけど。
見た目がかなりの強面らしいが、とっても良い人だった。
「つまみだ」
「いただきます」
エールの改良と、酒の肴を試食して欲しいと言われる。
「どれが一番だ」
「この塩味の効いた腸詰が」
「こっちが?」
現在酒の肴にするべく開発しているのはソーセージに似た物だ。
私でも良く目にするのはソーセージだけど、こっちのウィンナーと呼ばれる物は塩味が効いていて、特に触感が最高だった。
「何でしょう…食べた瞬間に肉汁が口の中で弾けてワクワクします。その後に噛みしめて食べると美味しくて」
「そうか…って、何しているんだ」
「味が濃いからレタスを挟むともっと美味しいんです」
最高の組み合わせだわ。
でもお皿がないから代わりにあるのは…。
「何をしているんだ?」
「お皿の代わりに…油と塩がパンに絶妙!」
「何だと!」
「これは最高じゃねぇか!」
ローレンツさんは細長いパンにウィンナーを挟みながら食べると声を上げた。
「これ、行けるで!美味い…美味いわ」
「ああ!仕事の合間にも食えるわ」
パンの上に乗せるとこんなに味が変わるなんてすごいな。
ウィンナーの塩味がパンと合わさりこんなに素晴らしい味になるなんて。
「これは美味ですわ」
「ええ、初めてね」
「美味い」
試作品を重ねた後に試食会を始めた私達。
ママンとダリア様は最初こそかぶりつく事を反対していたけど、フォークとナイフで食べると冷めてしまうし形が崩れるのだ。
「手で食べると美味しい事もあるんですね」
「えっ…」
私の何気なく言った言葉にルシウス様は何かに気づように声を上げる。
「手で食べると味が変わる…そうだ。それだ!」
「ルシウス、どうしました?」
「母上、ファクソーン家との和解する方法を思いついたのです!これです!この食べ物です」
「ルシウス様?」
「やっぱり貴女は幸運の女神だ!」
いきなり立ち上がりそのまま立ち去ってしまった。
五時間後、大急ぎで戻って来たルシウス様だったが。
「母上!やりました!ファクソーン家との会合を取りつけました」
「なんですって!」
「一体どうやったのです!」
「グレーテルのおかげです!」
私は何も解らなかった。
けれど、私が知らない所で大きく物事が動き始めたのだった。
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