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第一章
12飲んで食べて
しおりを挟む食べて飲んでばかりの花嫁修業とはなんぞや?
「ダリア様、本当に良いのでしょうか」
「これも大事なお勤めよ」
今日一日で私はパンの試食から始まり、ワインの試飲をした後に豪華な料理を試食している。
「ソースの味は」
「この三番です!他のソースは肉の味を殺している」
「酒は」
「この生牡蠣にはワインよりもこっちの地酒です。生臭さを消してくれます」
「完璧です!」
何の質問だろう?
「ダリア様、若奥様はディオニソスの加護を持った方です」
「いいえ、スティア女神の化身ですぞ!」
何やらシェフの人やギルドらしき人が騒いでいた。
「グレーテル様は百舌を超える舌をお持ちです」
「いいえ、火加減の目利きに優れておりますぞ」
私は離れた場所で燻製チーズを頂いていた。
「これはなんて美味しいのでしょう!」
「味の解るお嬢ちゃんやな…これはヤバいで?これを食うたら元に戻れへん」
「くっ…なんて美味!」
エールと呼ばれるお酒と一緒に食べるとたまらない。
「でも冷たいと良かったのに」
「エールは常温なんやが」
「でも今日みたいに暑い日はキーンと冷えた飲み物が良いと思います」
「しゃーないな」
エールを持ってきてくれた男性は氷を持ってきてくれた。
「少しだけ冷やしたろか」
「わぁーい!」
エールを飲むと衝撃が走った。
「こっ、これは!」
「どうしたんやお嬢ちゃん」
「美味しい。美味しくてどうにかなりそうです!」
私は冷えたグラスのエールを一気飲みする。
こんなに美味し飲み物は初めてだわ。
「兄貴ぃ!美味そうですよ」
「見てください、あの表情」
「俺も飲みたいっスよ!」
なんて美味しいのかしら。
私はエールを飲み終わった後にチーズの燻製を食べると。
「うぉぉぉ!美味い…美味すぎる!」
「何だこの美味さは!」
隣でギルドの皆さんがエールを冷やし飲むと発狂していた。
「御見それしました!下僕にしてください!」
「兄貴ぃぃぃ!」
「エールを作る事に命をかけて30年!こんな美味いのは初めてや!どうかご指導を!」
「「「姐さん!」」」
何故か大柄の黒い眼鏡をかけた男性陣に頭を下げられてしまいました。
「嘘でしょ…黒猫一派を制圧したなんて」
「決して誰にも頭を下げないエールを作る事に命を捧げた旦那が頭を下げたぞ」
「ただ者じゃねぇ!」
私はただ飲み食いをしただけなのだが、何故か黒猫組の親分に頭を下げられた後に。
「俺の店のソムリエになってください!」
「「「お願いしやす姐さん!」」」
何も解らない内に妙な方向に進んで行き、後に私は彼等からこうよばれた。
美食の女神様と。
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