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第一章
11いざ武者修行
しおりを挟む王都の方と領地では考え方が異なっているだろうか。
それもとシャトワール家だけが異なっているのか判断ができなかったのだけど。
「グレーテルさん。どうかお願いしますね」
「はっ…はぁ」
私はどうすればよいのだろうか。
「ダリアは子供が出来にくい体ですし、我が家で問題を抱えていまして」
「問題…ですか」
私にできることがあるのだろうか?
自分で言うのも何だけど、私は何もできないのだけど。
「私は貴族令嬢としての教養がほとんどないのですが」
「語学は堪能ですわねよね?」
「堪能と言っても東帝国とイプサロン公国ぐらいですが」
祖国と数えると三か国語ぐらいだし、しかも私が習得しているのは古語だ。
昔の言語だし、使えないだろう。
「いいえ、十分です」
「補足部分は私が補います。今後の貿易にこの二か国は外せないのよ…どうかお願いします」
「頑張ります」
何ができるか解らないが、ここまで歓迎して貰ってやらないわけにはいかない。
「そうと決まれば、今日からレッスンよ!」
「姉上…まさか」
「彼女にあのえげつない訓練を…」
「指導と言いなさい、指導と」
これが俗にいう嫁ぎ先で行うあれか!
「武者修行ですね!」
「いや、花嫁修業だろ!」
他所に嫁ぐ前に婚約期間にお姑様に試練を与えられるあれだ。
私もポートナム伯爵家との婚約が決まってすぐに指導を受けたのだから。
「そんなたいしたことではないのよ」
「姉上、その笑顔で説得力がありません」
「グレーテルちゃん。我が家には色々しきたりがあるけど、大丈夫よ。私が手ほどきをするから」
「お願いします!」
「いいお返事だ事」
「姉上!」
お嫁に来た以上はしっかり頑張らないと。
こんな私でも良いと言っていただけるのだから、こんな嬉し事はない。
そう思ったのだけど。
何故か私はお茶会にてパンの試食をしていた。
「ダリア様、これは」
「さぁ、グレーテルちゃん。この中のパンを試食してどれがバターか、マーガリンか見極めて頂戴」
「はい、こっちのロールパンがバターです」
これが花嫁修業なのだろうか?
シャトワールの歴史を学んだりしきたりを学ぶ所か先から飲み食いをしている。
パンの前はワインの試飲だったし。
「お見事です。正解です」
「では次の訓練に入ります」
「はっ…はい」
私の想像としていた花嫁修業とは全く異なっていたけど、頑張ろう!
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