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第一章
2姉の見合い話
しおりを挟む貴族には家格があり優劣がある。
大貴族であっても没落寸前の家も多くある。
裕福な家に嫁ぐことが幸せだと言われている。
特に侯爵家以上の家に嫁ぐのが幸せになる条件だと言われていた。
オクレール伯爵家はそこそこの家柄だった。
お父様は由緒正しき家柄だと言っているが、高位貴族には到底敵わない。
町に出て買い出しに行くときに侍女やメイドの人から話を聞いているのでなんとなく察していた。
私は今年で16歳になる。
貴族令嬢は幼少期から婚約者を取り決めるのだけど、私は一年前に同じ家格の家柄に嫁ぐことが決まっていた。
嫁ぎ先のお姑様が良い方だったし、私でも貰ってくれる人がいるならと。
だけど、お姉様の婚約が決まるのは遅かった。
その理由は、そんじょそこらの貴族では釣り合わないとの事だった。
そして最近になってようやく縁談が纏まった。
「シャトワール伯爵家と言えば資産家で名家ですわ」
「ああ、これ以上の縁談はないだろう!」
「でも伯爵家でしょ?」
シャトワール伯爵家は東北地方を牛耳る家柄だった。
王族に直接お目にかかれ、資産家としても有名らしいのだけどお姉様は不満だった。
「資産家でも伯爵位でしょう?」
「そうね?アルミナだったら王太子妃になれるわ」
「私は下級貴族なんて…それに怖い姑がいるんでしょ?」
お姉様曰く、侯爵以下に嫁ぐのは嫌らしい。
お母様もお姉様を王族かその親族に嫁がせることを夢見ていたが。
「だが、シャトワール夫人は社交界でも有名な方だ。権力もある、地位も財産も…将来は安泰だ。支度金も弾んでくれるだろう」
「そうだけど…」
気乗りしないお姉様は何か心配事があるのだろうか。
「それよりも貴方、当日は」
「ああ、お前は顔合わせに来るな。目障りだ」
「承知しました」
「フンッ、お前がいればまとまる話もまとまらんからな!この屑が」
「どうしてお前なんかが生まれて来たのかしら…お前さえいなければ」
何時ものように私の悪口大会が始まったので早々に退出する事になった。
仕事以外で母屋にいる事は許されないので離れに向かう。
そこが私の許された居場所だった。
「さぁてと、今日の記録っと」
部屋に戻りこっそり市場で試食したパンをメモする。
「今日の塩も絶品…と」
偶然見つけた他民族が出しているお店で試食販売をしていたので食べたけどパン以外に美味しい料理が並んでいた。
「清の国の食べ物は素敵」
私が余りにも美味しいと言うから店主のおじさんは他にも色々食べさせてくれた。
「またこっそり食べに行こう」
お腹が満たされれば心も満たされる。
でも結婚したら難しいな。
カルタ夫人は良い人だけど買い食いをしているなんてバレたら怒られるし。
「でも、仕方ないか」
結婚したら嫁ぎ先のお姑さんのいう事を聞かなくてはならない。
そうじゃないと追い出されるんだと、市場のおばさんも言っていたしね。
私の場合は、カルタ夫人が気に入ってくださらなかったらこの家から追い出されていたのかもしれない。
私は使用人込みで望まれたのだから。
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