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71.式典前~ロビンside
しおりを挟む――今すぐこの女を袋に入れて川に流してやろうか。
私の理性は既に限界を達していたのです。
全ての始まりはこの女の勘違いと傲慢によるものなのに。
「早く広間に連れて行きなさい」
「本当に無能ね、王宮の侍従をがこれでは」
目の前で私に気づくことなく傲慢な態度を取っているこれらは気づきもしない。
私は男装して、彼の前にいました。
変装中はロビンソンと名乗り、男装して害虫の監視をすることになっています。
式典前、私は離宮にて。
「ロビン待ってましたよ」
「ビアンカ様」
準備を終えた私は内々にビアンカ様から部屋に呼ばれたのです。
「明日の式典ですが、貴女は宴が始まるまではアイリスの傍を離れてもらいます」
「ですが…」
「他の貴族は捨て置けばいいでしょう。さして問題ありませんが、頭が湧いている愚か者とネジ緩んだ馬鹿娘の方が危険です。彼等は既に手段を選ばないでしょう」
「確かに」
現在調べたところによるとステンシル侯爵家は傾き、多額の借金を背負っている。
領地も不作が続き、邸内に出入りする商人は悪質な方法で宝石やドレスを売りつけているそうです。
ステンシル侯爵夫人の金遣いの荒さは酷く、侯爵も詳しくは知らないでしょう。
あの男も馬鹿だから、ステンシル侯爵家の財は火の車である事を解っていないのだから。
これまでも借金はあれどお嬢様が後から黒字にしていたのです。
だが、その黒字になるには良心的な商人が知恵を貸してくれていたことありますが、今のステンシル侯爵家に力を貸してくれる貴族も商人もいないのです。
彼等は好き放題やり過ぎました。
「未だに侯爵は妻がどれだけ借金をしているか解っていないでしょう。既に調べてあります。馬鹿な男だ事」
「侯爵領地は元は先代様が大きくしましたので…現当主には無理でしょう。贅沢を当たり前のようにして来たあの馬鹿姉妹も気づきもしないでしょう。自分達の贅沢の裏でアイリス様が犠牲になっていたからこそ裕福な生活ができたのだと」
「既に取り返しのつかない所に来ています。ならば、そのまますべてを失えばいいわ」
このまま貴族のまま残すなんて許せない。
アイリス様を長年虐げて来た報いを受けさせなくてはならないのです。
「実はおかしな情報を仕入れましたのよ」
「おかしな情報?」
「ええ、ステンシル侯爵夫人が高齢の男爵に娘を嫁がせようとしていると。その娘がローズマリーではなくアイリスだとか?」
「なんですって!」
シメリス帝国の皇太子妃を男爵の愛人にするなんて聞いたことがないし、普通に考えて無理でしょう。
「元はアイリスを長女の支度金代わりに嫁がせる予定だったみたいだけど破談になって、しかも三女は婚約者が見つからないから、代わりにと思っていたそうだけど…」
あれだけ二人の娘を依怙贔屓して可愛がっていた癖に屑です。
いいえ、そもそも最初から王子妃になるイライザだけが大事だったのかもしれない。
夫も娘もあの女にとっては道具に過ぎなかったのだろう。
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