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68.迷惑な連中~アンジェリカside

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ある程度予想はしていた。


でもあそこまで頭がおかしいとは思わなかった。


「アンジェリカ」

「カディシュ様」


お義母様はアイリス様の元に向かった。
どうしても渡さなくてはならない品があるので直接手渡す事になっている。


私はカディシュ様と合流する事になっているのだが。


「道中、大事なかったか」

「ええ、少々迷惑な蛾が飛んでましたが」

「蛾?」

「ええ、喧しい蛾ですわ」


本当に迷惑な方です事。
道のど真ん中であんな見っとも無い真似をするなんて。

「そう言えば警備隊の方が少ないような」

「貴族街の方で馬車が事故に合って、騒ぎになっているんだ。何でもやたらと飾りの多い変な馬車らしい」

「もしや、装飾品がついている馬車ですか」

「あれ?知っているのか?」


なんて迷惑な人達なのかしら。
周りの人達を巻き込むなんて、最悪だわ。


「何でも飾りが多い馬車で短距離専用の馬車だったらしく小回りが利かなかったらしく、後ろの馬車と衝突してしまったと聞く。警備隊が誘導しているらしいが」

「後で労いの事と差し入れを用意しなくては。きっと精神的に疲れて戻って来るでしょうし」

「ん?」



この後私はルカーシュ様とも合流し、謁見の間にて待機した。
王族、公爵、宰相と身分や役職の順番で並ぶようになっている。

「そろそろ始まるな」

「ええ…」


開始時間10分前には既にまだかまだかと待ち望んでいる者も多く。
新聞記者専用の場所も設けられており既に取材の準備をしている姿は流石だわ。

「帝国の記者、やはり来てますわね」

「そりゃ来るだろ。特にあの男」

カディシュ様の視線の先にいるのは随分と若いわ。
他の記者は中年ぐらいだと言うの珍しい。

目立っているわね。


「若手の記者の中でもかなりのやり手だ。しかもゴシップ記事は絶対に書かない。新聞記者としての矜持を守っているとかで、帝国民からは慕われている」

「まぁ、素敵」

お金の為に貴族のご機嫌取りをする記者は多いけどその逆は少ない。


「何でも新聞は権力に媚びないと言うのが信条らしい」

「将来大物になって欲しいですわ」

「そうだね」


人の命を左右する職業についている方にはちゃんと責任をもって行使して欲しい。

医者や弁護士に官僚。
彼等は少しの出世欲の所為で不正をすれば人を死に追いやることができる。

私達貴族も同じだわ。


「そろそろ始まるな」

「ええ…」


貴族は特に平民よりも特権がある故に、使い方を間違えれば人を殺めることは簡単なのだから。


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