婚約者の姉を婚約者にしろと言われたので独立します!

ユウ

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65.見たくなかった物

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想像以上の混雑だった。
城下町では多くの馬車の列が並んでいた。

「まぁ、すごい人ですわね」

「アイリスったら、この程度で驚いていていてはなりませんわよ」


アイリスは驚きながら言うがエラノーラ様は慣れたようだ。
流石というべきか。


「エラ、公の場では言葉を慎むのだよ」

「解っていますわ」

「どうか、畏まらないでください」


アイリスは二人に改まられるのが慣れないようだ。
かつては主君ととして尊敬した二人と今後は立場が逆になるのだから。


「クレイル様」

「ユーリ、今後私達は君より下だ」

「従国と申しましても、ブリチア王国を軽んじるつもりはありませんよ」

同盟を結ぶ以上は友好的な関係を望んでいる。
ブリチアをだたの従国する気はないのだが、公の場ではそれらしう振舞わないといけないのが辛い所だ。


「あら?すごい騎士団数ですわね。赤い騎士ですわ」

「本当だ」


嫌な予感がした俺は視線を逸らせるも。


「まぁ、白銀の馬車ですわね。なんて素敵なのかしら」

「ほぉ?なんて美しい馬車だ」


白銀の馬車。
とてつもなく嫌な予感がする。


「その隣には黄金の馬車だな」


ああ、母上に伯母上。
何でまたそんな派手な馬車で来たんだ。

「よろしければどうぞ」

「ローゼ嬢!」

用意周到にオペラグラスを差し出さないでくれ!


「ユーリ様」

「ああ、言わなくても解るだろ?」

白銀は我がウィンディア家のカラーだ。
そしてその馬車の色も白銀なので誰かなんて聞くまでもない。


「あら?近くで無駄に趣味の悪い馬車が止まって、騎士達に文句を言っているわね」

「どれどれ…エラ、そろそろ謁見の間に行こうか」

「殿下?」


即座にオペラグラスを奪い、ローゼ嬢に返却した。


どうしたんだ?


「少し早めに待機して置こうか」

「侍女が呼びに来ますのよ?まだ早いですわ」

「だとしてもだ。やはり盗み見るのはどうかと」

「別に盗撮しているわけではございませんわ」

そう言いながらオペラグラスを奪うエラノーラ様だったが。


「申し訳ありません。私が悪うございました。待機しましょう」

「ああ」

「ではまた後で」

「え?はっ…はい」


いきなりどうしたんだ?
さっきまでと態度がまるで違うのに気になるな。


「ユーリ様、どうぞ」

「ああ」

ローゼ嬢にオペラグラス借りて見ると、レンズ越しに何故かステンシル侯爵夫人が道端で何か騒いでいた。


何をしているんだ。


というか、何で派手な馬車を。
馬鹿なのか?馬鹿としか言いようがない。

ただ見てくれが派手なだけでは笑い者にされるというのに。


馬車から一人、令嬢は恐らくイライザ。

あれはないな。

時代遅れのドレスに成金丸出しだった。


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