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63.すべては夢~ローズマリーside
しおりを挟む早朝から長蛇の列。
城下町は今日の日を祝うべくパレードが催され、ギルド達も盛り上げていた。
朝から出店が催され、貴族街でもお祝いモードだった。
私達も王宮に馬車で向かう事になっていた。
ただ不満だったのは、ドレスと装飾品だった。
「どうしてお姉様はダイヤモンドの首飾りで私はサフィアなのよ!」
私もお姉様みたいにダイヤモンドで散りばめられイヤリングと首飾りが良かったのに、今日の主役はあくまでお姉様だからダメだと断られた。
ドレスもお姉様が目立つように少し色を押さえろだなんて言われたけど、これだけは譲れないわ。
私も皇太子妃の妹として相応しい装いをしなくてはならないし。
それに私の美しさをアピールしないとね!
お姉様が結婚適齢期ギリギリだけど、私はまだまだ若いから肌を露出した方が喜ばれる。
社交界の殿方も肌を隠し凄るのは体に自信がないからだと言っていたし。
「コルセットを使って胸元を上げるように言わないと」
私が選んだのはクリノンだった。
以前から社交界でも流行っていたが、私なりのアレンジをしている。
後にファッションリーダーとなるのだから、この大事な時に私のファッションセンスを見せつけないとね!
こう言っては何だけどお姉様はセンスが今一つだわ。
悪くないけど、私の方がずっとセンスが良いし、より美しく見せる方法は私の方が心得ている。
例え今日のパーティーでお姉様が誰よりも美しい装いをしていても本当にお洒落ななのは私だと思い知らせてあげる。
帝国の貴族は男性ながらにしてファッションの最先端を行く方も多いのだから。
「この機会を逃さないわ」
お化粧もばっちりで髪もしっかり巻いて、後は香水をつけて完璧だわ。
「お嬢様、馬車が到着いたしました」
「ええ」
今から楽しみで仕方ない。
そう思ったのに。
「は?どうして私が別の馬車なの!」
玄関先に向かうと、お父様より私はお姉様とは別の馬車を乗るように言われた。
「仕方ないでしょ?イライザは皇太子妃となるなのよ?」
「そうだ。同じでならん。お前は古い方の馬車があるだろう」
お父様とお母様はさも当然のような言い回しをする。
「だからって、私にあんな馬車で王宮に行けと言うの?」
我が家で使っている馬車は二台ある。
豪華な馬車は王宮に行くときに使い、もう一台は通常用。
けれど、豪華な馬車の方を気に入っている私達は普段から豪華な馬車を使っていた。
もう一つはあの女が利用していたのだ。
「嫌よ、あんな馬車でなんて!」
「いい加減になさい、我儘を言うんじゃないわよ。本当に困った子ね」
溜息をつくお姉様は私を小さな子供が駄々をこねているように言う。
「ローズマリー、我儘もいい加減になさい。貴女は妹なのよ」
「身の程を弁えんか…アイリスならばこういう時は素直に従っていたと言うのに」
「なっ!」
ここであの女の名前を出す?
信じられないわ!
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