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37.家族を捨てても~アイリスside

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何かがはじける音ががした。

「きゃっ…」

同時に布が裂ける音が響いた。


ビリビリ!


「きゃあああ!」

「イライザ!」


胸元が裂け、体のラインからも布が裂けてしまった。


「そちらのドレスは特別製でコルセットなしで着るエンパイヤドレスです。コルセットをつけて胸元を見せるように着ると胸元が裂けますし…アイリス様の体に合わせて作っているのでサイズは合いません」

「ええ!」

「失礼ながらアイリス様はすらりと背難くウェストは細いので…無理かと」

「なんですって!」

「イライザ、動いてはなりません」

怒ったお姉様は動こうとするも、胸元を隠していた布も見えて胸が露わになる。


「きゃああ、見ないで」

「大丈夫です興味ありませんので」

「なっ!」


傾国の美女と呼ばれるお姉様の体を見てもばっさりと興味ないと告げるジャックに私は開いた口が塞がらなかった。


「ではアイリス様、内の侍女が着替えを髪結はこのジャックにお任せください」

「はっ…はい」


結局のお茶会にはお母様もお姉様も参加することはなかった。


「ざまぁないですな」

「え?」

「人の物を横取りするからああなるのです」

後から知ったけど、ジャックは確信犯だった事を知らされた。

「アイリス様、お辛いでしょうが今しばらく御辛抱を。我らは貴女様の味方です」

「ジャック…」

「貴女様が嫁ぎさえすれば縁を切る事もできます。このジャックにお任せください」


この時は冗談かと思っていた。




でも本当にそんな日が来るとは思わなかった。



お姉様が、ユーリ様との婚約を望み、お母様が譲れと命じ。
お父様も賛同した時に思ったわ。


今まで何もしてくださらなかった。
もしかしたら陰で私を庇ってくださっているのかと思ったけど。


この言葉で愛想が尽きた。


「エリーゼ、お前なら解ってくれるだろ?優しいお前なら姉の為に我慢できるだろ」


優しい?

姉の為なら我慢できる?


これまで私がどんな思いをしていたか。

「お父様は今まで私がどれだけ我慢して来たか知ってましたか?」

「え?」

「誕生日は一人だけ型崩れのドレスで壁の華。周りと比較され大切な物は奪われ続ける日々。そして私の心をの支えすらも姉に譲れと…私に心を捨てろとおっしゃるのですね」

「そんな大げさな」

「私に死ねとおっしゃるのね…もういいです」

この時私はロビン以外誰一人としてこの家に味方はいないと察した。


婚約解消になった暁には私は何処かの年配の貴族の愛人に売られるのだろう。
ローズマリーの支度金代わりにされるか、都合よく利用される。


なら修道院に行くか。


命を断つかの二つ。


ユーリ様を裏切るような真似はしたくなかった。



でも、ユーリ様は私を見捨てていなかった。
それどころか私との愛を貫いてくださったわ。

だからこの先何があってもあの方と共に生きる事を選んだ。

例え家族と縁を切る事になっても。


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