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36.本当の温かさ~アイリスside
しおりを挟むその後、素敵な靴をビアンカ様が下さり。
首飾りはユーリ様から、イヤリングはカディシュ様とすべてを身に着けるとセットになっていた。
「なんて事だ、兄上に美味しい所を持って行かれた」
「ユーリ兄上、次があります」
皆様は私に素敵な贈り物をしてくださり、驚いたことにすべて私にぴったりだった。
「悔しいが兄上のセンスは完璧だ」
「よろしいのでしょうか?」
「嫌なら捨ててくれていいぞ。俺がドレスを…」
「いい加減になさい。早くアイリスをエスコートなさい?いいですか?女性を美しく見せるのはパートナーの力量ですわよ?」
「はい母上」
無言の圧力が少し怖かった。
「アイリス、ユーリの足を踏んでも良くてよ?他の客人より目立ってらっしゃいな」
「ええ!」
「ダンスの主役は女性。殿方は引き立て役か踏み台に考えなさい」
ビアンカ様は国一番の才女と呼ばれていて、時々驚くような発言をするけど。
とっても素敵な女性だった。
ビアンカ様が本当のお母様だったら。
日に日にそう思うようになったそんな時。
誕生日やイベントに送られる贈り物をお姉様に取られてしまった。
「待ってください!そのドレスは」
「いいでしょ?貴女には少し派手過ぎるわ」
「でも、それはビアンカ様が私の為に誂えてくださったのです…」
「黙りなさいアイリス!」
私を咎めるようにお母様は私を睨む。
「ウィンディア家の皆様にドレスを強請るような真似をして、姉にドレスを貸す事もしないなんてなんて強欲なのかしら」
「そんな…」
私は強請ってないわ。
ビアンカ様は私が着るドレスがないからと送ってくださったのに。
「私にぴったりだわ」
「お姉様…」
止めるのも聞かずに袖を通してしまっている。
こうなったら取り返せない。
どうしたらいいの?
私はビアンカ様の気遣いを踏みにじる行為をしてしまった。
けれど、ビアンカ様は私以上に家族の事を察していた。
「失礼します」
「何ですの?」
「私はウィンディア家の従者のジャックと申します。アイリス様にお届け物をお持ちしました」
「は?」
お茶会に参加する三時間前にジャックが現れ、数名の侍女を連れていた。
「これは…」
「本日のお茶会に来ていただくドレスをお持ちしました。先日お送りしたのは手違いでして、当日に来ていただくドレスはこちらになります」
「え?」
「はい、あのドレスデザインも古いですし、何より事らの方が上質で…そのドレス」
お姉様が着ているドレスを見て目を見開く。
「ごめんなさいジャック…」
「大丈夫でしょうか…そのドレスは」
ジャックが心配そうに告げた瞬間、ドレスはとんでもない事になった。
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