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31.奇襲作戦
しおりを挟む敵軍の数は圧倒的だった。
ただし、こちらは数ではなく頭を使い奇襲を仕掛けた。
そのおかげで短時間で敵軍を抑え込み、東大陸を制圧することが叶った。
おかげで小さいが領地を得ることが叶った俺は男爵意を得た。
アイリスもまた、叔母上のサポートの元、聖カレス騎士団に同行し医療班として活動をした。
元より薬学を学んでいたので薬師として医師達に同行したのだ。
おかげで効率的に負傷した騎士達を救うことができたし、今回の奇襲攻撃にアイリスは知恵を貸してくれた。
伊達にあの家族の中で生きていなかった。
軍師に顔負けの作戦を立ててくれたアイリスに感謝しかない。
「おめでとうございますユーリ様」
「いや、君のおかげだ。彼等に降伏したと見せかけ、敵陣に間者を忍ばせ、酒に一服盛るとは大胆だが…おかげで短時間で敵の首を取れた」
「戦が続けば、その分領地が荒れます。囚われている人質の皆様の事を考えれば一分一秒を争いますわ」
「恐ろしいな」
本当に、母上の教育の賜物だと思うが。
母上ではここまで奥まで考え付かないだろう。
味方の被害は最小限で、敵には最大限の打撃を耐える。
本当に恐ろしいな。
「東の大陸には多くの薬草があります。ですから彼等が火を放てないようにしておいて正解ですわ」
「ああ、この領地はそのまま俺達の物になる。薬草を持ち帰り民達に与えよう」
ちゃんとした医療を受けられない民はまだまだ多い。
だからこそ、薬草の生産量を増やさなくてはならないのだ。
「今後は薬草も必要ですが、診療所がもう少し欲しいですわ」
「診療所?」
「はい、帝国には病院はありますが、診療所が少なすぎます。病院にすぐに行けない方が通える小さな病院や薬草が手に入りやすい場所もあればと」
確かに…。
流石アイリスだな。
細かい所にも目を向けてくれている。
しかし資金的に難しいな。
「税金を使うのはいかがでしょう」
「税金を?」
「はい、国民から税を得ているならも少し国民の手助けをすべきかと…いえ、申し訳ありません」
アイリスは直ぐに口をつぐむ。
「何でも言ってくれ。俺はそう言った事には疎い。君の考える政策を教えて欲しい…君は俺の妻だろう?遠慮はいらない」
「ユーリ様」
これまで言いたいことがあったも我慢を強いられて来たんだろうが、もう我慢する必要はない。
「あの…お二人共」
「戦地で堂々といちゃつかないで欲しいのですが」
その後俺とアイリスのやり取りを見ながら他の騎士や医療班が呆れていた事を知る由もない。
そして第三者からは後にこう呼ばれた。
鴛鴦夫婦と。
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