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24.本当の愛~カディシュside

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ステンシル侯爵家は、噂を流してすぐにユーリ兄上とアイリス様を引き離し、婚約式を執り行った。

その間アイリス様は邸に軟禁状態だった。
ユーリに兄上もあの女の傍に留め置いていたらしいけど違和感を感じた。


武官でもあるユーリ兄上ならば邸を脱走することもできる。
どうしても嫌ならばステンシル侯爵に正式な訴えをすることもできるの大人しくしていた。


本当にこのままでいいのかと思ったら、婚約式の場でイライザに婚約破棄を告げ真実の愛を貫くと告げた。



周りは驚き声を上げていたけど。
僕は全てそのつもりで大人しくしていたのだと思った。


「流石ユーリ兄上!」

これでこそ騎士の鑑だ。


このまま黙っているなんてユーリ兄上らしくないと思ったが、ステンシル侯爵家は大激怒し、ユーリ兄上を責め始め、アイリス様には親子の縁を切ると言い出したのだ。


彼等は気づいていない。


「なんて酷いのかしら」

「血のつながった我が子に」

「第一、アイリス様が可哀想だわ、毒親ね」


婚約破棄に動揺して、招待客がどんな噂をしているか。
公の場で被害者であるはずのアイリス様を悪役にして悲劇のヒロイン気取りのイライザは見るの耐えなかった。

仕返しと言わんばかりにユーリ兄上はアイリス様と結婚できないなら誰とも結婚しないとまで宣言し、国王陛下の怒りを買い、国外追放となってもその意思固く、誇らしかった。


でも、国外追放なんてあんまりだ。
二人は何も悪い事をしていないのに。


でも、ふとルカーシュ兄上や母上を見ると心なしか笑っていた。

それにこの場にジャックがいないことが気になり。


僕はある想定をした。


もしかして母上も兄上もすべて知っていた?
父上も何も言わないのは、最初から気づいていたのかもしれない。


でも、僕だけ仲間外れなんて。

少しムカついた。

でも今は知らない素振りを見せた方が良い。

勘づかれたら大変だし。



それに僕もあの家族に対して思うところがある。


「そんな…ありえない」

「どうするのよお姉様!こんな…」


放置されたイライザを慰める人間はいなかった。
ローズマリーもこの空気の悪さに耐え切れないでいた中、僕は近づく。


「兄は騎士の鑑です。一度愛を誓った相手を裏切るなんてありえない」

「は?」

「アイリス様と兄は愛し合っていた。二人は運命の糸で結ばれていたのを無理矢理引きはがすからこうなるんだ。自業自得だ」

「なっ…なんですって!」


優しい言葉なんてかけてやらない。
それだけの事をしたんだ。


「何度も言いますよ。身の程を知れ。恥さらしが」


冷たい視線で射貫き僕は最後に告げた。

「僕はお前達を許さない、兄を国外追放にまで追い込んだ悪魔が」


魔の巣窟に住まう魔物達。
でも魔物は必ず対峙される。

だから覚えて置いて。


お前達を必ず対峙してやる。

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