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第一章婚約破棄と国外追放
21.待遇
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サフィアに案内された場所はとても広い部屋だった。
白で統一されて部屋は清楚感があり、ベッドは王族が使うような豪華なモノだった。
家具もブランド物で、伯爵家ではまずお目にかかれない代物が多く。
一番驚いたのは椅子やソファーがエリーゼの好みにピッタリだったのだった。
「こちらがドレスになります」
「えっ…」
奥のタンスを開けるとずらりと並ぶドレスに洋服と靴。
(すごい数)
実家にいたときは、余所行きの服すら満足になかった。
王宮にいる時は、型崩れのドレスを着ているエリーゼを不憫に思い王妃が用意してくれたのだが、最終は取り上げられてしまって残ったドレスは数着だった。
「あの…こちらは」
「大旦那様より、オーダーメイドで作るように仰せつかりました」
「え…」
全てはエリーゼの為に用意されたものだと知らされ驚く。
軽く100着はあるので驚かずにはいられなかったのだが、サフィアが困ったように告げる。
「やはり少なすぎましたわね」
「はい?」
「皇族に嫁がれる姫様には少なすぎましたわ。時間があまりなかったもので…本来ならば装飾品ももっと増やすべきなのですが」
公爵家の財力に眩暈がした。
ずらりと並ぶドレスすべてが絹でできており、レスティア王国では王妃ぐらいしか着ることが許されない程の豪華なドレスだった。
(恐るべしクライスト公爵!)
いくら何でもここまでの財を持つ貴族はいるだろうか。
少なくとも、レスティア王国の王族や親族にここまでの財を持つ貴族はいない。
「いかがななさいました」
「本当によろしいのでしょうか」
支度金も持たずに嫁いできた身であるエリーゼは、一文無しで嫁いできた。
にもかかわらず、ネイサンは湯水のようにお金を使ってエリーゼを歓迎していた。
公爵家が嫁一人を迎えるためにお金を出し惜しみをしたくないのは解るが、やり過ぎではないかと思ったのだ。
なのに、サフィアはエリーゼの不安に気づかずさらに爆弾を投下してしまう。
「当初は皇宮内に離宮を作り、住んでいただく手はずだったのですが…どうしてもカイル様はクライスト家で過ごしていただきたいと申されまして」
「え?」
さらに驚愕の事実が判明した。
皇居に住むなんてまずありえないと思いながらもサフィアは手を動かし、あっという間にエリーゼを着飾ってしまうのだった。
「お美しゅうございますわ」
「あっ…ありがとうございます」
数時間ほどでドレスアップは終わり、鏡に映る自分に一瞬だけ誰かと思った。
それだけ印象ががらりと変わる。
ここまで綺麗にドレスアップをしてもらったのは初めてかもしれない。
サフィアの侍女としての実力は本物で驚かされるばかりだったが、まだまだ本の序の口だということをまだ知らなかった。
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