聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

文字の大きさ
上 下
113 / 117
第二章

56幸せの花嫁

しおりを挟む




その半年後、二人の結婚式が行われた。
季節はまだ肌寒さを感じる春だった、花が咲き始めた頃で演技も良く春の花嫁おなった。


他所の国では六月の花嫁が主流だったが、花が咲き始めるこの季節に一番美しい花が花嫁という意味合いを込めたのだ。


色鮮やかに咲き誇る花と春の女神に祝福を受け、結婚式は国民も見守る中多くの者が祝福をした。


「綺麗だぞ…ぐずん」

「旦那ざばぁ…」

近くで見守る父と侍女も涙ながらに幸せそうな花嫁を見て涙する。


「本当に良かった」


そして何より二人の晴れ姿を見て喜んでいたのはルクスだった。


「ルクス、君が一番うれしそうだな」

「そうか?」

結婚式に同席していた勇者一行は誰よりも二人を心配していたのはルクスだと理解していた。
だからこそ一番喜んでるのではないかと思った。


「あの二人はある意味似ているんだよな。自分に対しては雑すぎて」

「そうだな」

「だから歯がゆかった。もっと好きに生きればいいのに…もっと自由に生きればいいのに」

しがらみが多くて逃げたくても逃げられない。
例え逃げ道を用意しても自分の運命から逃げようとしない二人を愛おしく思う一方で歯がゆく思った。


「俺が魔法使いになったのはあの二人が笑える世界にしたかった」

「ルクス…」

魔法使いと言っても幼い頃は出来損ないで、本当に未熟だった。
小さな花のつぼみを裂かせる程度の魔法しかなかった。

そんなルクスの魔法を誰よりっも喜んだのがソフィアとエリオルだった。

二人にとっては幸福を呼ぶ魔法使いだったのだ。

その言葉と思いが嬉しかった。
その昔、戦闘で重宝されていた魔法使いだが、魔法とはそもそも戦争に使うものではないとある大魔法使い。


「俺にできるのはこれだ」


杖を出してルクスは小さな魔法を発動させる。


「花だ…」

「満開の花に花吹雪!」


空を舞う花びらが踊っているようだった。


「結婚おめでとさん!」


「ルクス!」

「ありがとう!」


末永く幸福であることを願い魔法をかけた。


こうして結婚式は素晴らしい物となったのだが…


これで終わるはずはなかった。

何故なら結婚式と言えば最後の大イベントがある。

それは――


「ではこれよりブーケトスを行います」


結婚式の最後の一大イベントブーケトスだ。
独身女性にとっては一番の大イベントであるのだが、女性たちの目が獣のようだ。


男性陣は少し引き気味で、距離を取ったのだ。


この後恐ろしい事態になるとも知らずに。


しおりを挟む
感想 130

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

下げ渡された婚約者

相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。 しかしある日、第一王子である兄が言った。 「ルイーザとの婚約を破棄する」 愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。 「あのルイーザが受け入れたのか?」 「代わりの婿を用意するならという条件付きで」 「代わり?」 「お前だ、アルフレッド!」 おさがりの婚約者なんて聞いてない! しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。 アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。 「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」 「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

そのご令嬢、婚約破棄されました。

玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。 婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。 その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。 よくある婚約破棄の、一幕。 ※小説家になろう にも掲載しています。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

処理中です...