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第二章
48新たな役目
しおりを挟む貴族派を束ねていた公爵家が完全の権力を失った事で反旗を翻すことはな敵わなくなった。
余談であるが、一部でソフィアを良く思わなかった貴族もこれで邪魔はできなくなった。
今回の功労者であると進言した辺境伯爵家や中立側の貴族が抑え込んだのだ。
今回のバーバラとの一件はソフィアの作戦勝ちだった。
自身は打撃をほとんど受けないで尚且つ敵方には最大限の打撃を与えたことで軍師の才を持つと思われたのだ。
「何でこうなったの」
「王族のツートップが面倒で馬鹿だからだ」
「いいの?そんなことを言って」
「今更だ」
陰口を言ったつもりは毛頭ないのだが、国王と王女が脳筋であることは変えようのない事実だった。
常日頃から宰相や大臣達が頭を悩ませてるのが解る。
「ソフィアを降嫁させても彼らが手放さないだろうな」
「そんな大げさな」
「いいや、あの爺達を甘く見るなよ!」
強く両肩を掴まれるソフィアはこの時は考えもしなかった。
既に高齢になっている大臣達は陰でどうやってソフィアを王宮につなぎとめるべきか。
「俺達の結婚の邪魔はしないだろうが…度々王宮に呼ばれるのは面倒だ」
「呼ばれる程度ならいいけど」
「甘い、あのクソ爺達は恐ろしい事を考えそうだ。特に宰相だ…あいつは狸だ」
その数日後、エリオルの不安は的中することとなる。
「ソフィア様どうか、我が国の大使の役目をお引き受けください。外交に貴女様のお力が必要なのです」
「え…」
「やっぱりそう来たか」
フリーレン王国では女性もが政治に携わることができないわけではない。
だが公の場で外交や交渉をする役目は慎重にならなくてはいけない。
常に冷静沈着で、尚且つ敵にも笑顔で対応できる人物が望ましい。
「あの我儘令嬢の嫌がらせにも屈しない鋼の精神はそうおりません」
「はぁ…」
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(今、図太いって言ったわよね)
小声で言った言葉ははっきり聞こえていた。
「おい大臣、俺の婚約者をこれ以上危ない場所に連れて行くな」
「エリオル様、これは国の為です」
「だから嫌だったんだ」
頭を抱えながらなんとかして断りたい。
しかしこの場には宰相を筆頭に財務大臣や行政大臣と国の政治に携わる者がずらりと並んでいる。
断るのは非常に難しい。
最悪の場合結婚を反対されかねないのだ。
彼らはいい意味でも悪い意味でも為政者の塊のような連中なのだから。
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