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第二章

45もう一人の王女

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王女の資格は一日にならず。
国の為、民の為に尽くすことは容易ではない。

どうなろうと努力し続けた事でその品格を得られる。
国民が望む王女、騎士達が望む王族とは見た目だけの美しい姫君ではない。


本当に必要なのは守る覚悟。
時には傷だらけになっても守るべきものを守れるだけの強さを持つ者だ。




「ソフィア姫様!」

「ありがとうございます!」


この場にいる騎士や医師達は膝をつく。
彼らの心は一つだった。


「ああ、完全に掴んだな」

「お義姉様!」

静観していたローゼマリーは他人事のようだった。


「騎士団の中には気難しい者もいる」

「はっ・・・はい」

「色々抱えている奴も。だが、それを壊した」

これまでバーバラの悪意を自ら受け、守って来たのだから。


「この先、ソフィア様の災いとなるものは我らが…」

「私たちがすべて潰します」


騎士達のみならず医師達もそろって礼を尽くした。

「おー、これはすごいな」

「すごいって何がです」

「宮廷医師まで味方につけたな」

騎士や貴族とは異なり宮廷医師の中には中立側の人間が複数いる。
彼らは必ずしも王家至上主義ではないのだ。

そんな彼らを味方につけたとなれば王家はソフィアを手放さないだろう。


「私達は、不安でした」

「他国の貴族令嬢である貴女に覚悟があるか…」

「ですがこの度の一件で。貴女の覚悟を知りました」

「下手をすれば殺されたかもしれない」


彼らはずっと見ていたのだ。
ソフィアがどう出るか。

万一危険に晒された時ちゃんと立ち回れるか。

ソフィアは知恵を使い、状況を読みバーバラの策略を回避したのだ。

聡明さと勇気を併せ持ち、尚且つ自身の身をも守った。


「もう逃げられないな」

「笑えないのですけど」

「笑うしかない」


この時ソフィアは事の重大な事になるとは思っていなかった。



「おめでとう、邪魔な女を排除できたな」


後日、エリオル達が帰還した後にクレミア公爵家は失脚した。
これまで罪を重ねたクレミア公爵夫人の罪が明らかになり、その罪を見て見ぬふりをした公爵も思う罪となり、重い裁判にかけられることになった。



その後に裏で糸を引いていた貴族派も大量粛清されることとなり、貴族派の勢力は一気に弱まるのだった。

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