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第二章
34攻防戦①
しおりを挟む通常、王族や高位貴族が参加するお茶会ではあらかじめ毒見がされる。
身内などのお茶会ではまずないのだが、こんな敵対する派閥が参加するお茶会で茶器も毒が見えない品を使う子っとはないのだ。
(スプーンもフォークもわざとね)
銀のスプーンとはいかなくともそれに近しいものを選ぶのが当然なのだ。
にも拘らず毒が解らりずらいものを選んでいる。
ソフィアは何所まで馬鹿なのかと思った。
田舎貴族であろうともこれまで危険な目にはあって来た。
聖女の教育係と言う立場で疎まれて来たのでお茶会で毒を盛られそうになることはないと思いたいが。
「どうぞ。お熱いうちに」
「ええ」
「どうなさいましたの?」
受け取ってすぐに飲まないソフィアを促すように告げる。
「お茶会は始まってばかりですわ。なのに皆様を差し置いて先に飲むなんて」
「まぁ!そんな事気になさらなくてもよろしいのに」
「冷めてしまっては折角のお茶が不味くなりますわ」
「ええ…ですから早くお飲みになってくださいな」
(露骨すぎるでしょ)
明らかにすぐに飲ませようとしているのが丸見えだった。
(熱い状態がいいのね…それにしてもこのお茶)
彼女達に気づかれないように香りをかぐと気づいたのだ。
やたらとキツイミントのような香りがしたのを。
(フーン、そういうこと)
ソフィアは呆れながらもあらかじめ持ってきた蜂蜜を紅茶に入れる。
「何をしてますの」
「何って…お砂糖の代わりに蜂蜜を」
「蜂蜜?」
「ええ、今日は寒いので。ミルクも淹れさせていただきます」
傍にいる侍女はぎょっとなる。
ストレートでそのまま飲むだろうと思ったのだろうが。
「ミルクを入れて飲まれなくても」
「あら?いけませんか?王女殿下もお茶会ではミルクティーにするのが主流と聞きましたの」
「それは…」
「でも、好みがありますものね」
言い返しができきないように言いくるめた後に紅茶を一口飲む。
凝視されていていい気分はしなかったがあえて無視をすることにした。
ソフィアは紅茶をぐいっと飲みこんだ。
令嬢達はニヤニヤ笑う中、侍女が進んでお代わりを注ぐ。
「次はストレートでお飲みください」
「ええ」
今度こそはと思ったのだろうが、ソフィアは二杯目、三杯目と飲んでいくのだが平然としている。
「とっても美味しいですわね…後味がとっても」
「…ん…で」
小さな声で地を這うような声がわずかに聞こえた。
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