聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

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第二章

25嘆きの侍女④

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意固地になった事で外では演技を続けた。
どんなに辛くとも、公爵家の侍女であることはステータスであることは変わりない。

同期には自慢していたので今更言えないのだ。
義姉が亡くなり数年、自分こそが公爵令嬢だと偉そうにするバーバラを内心で馬鹿にしながらも侍女の仕事を続ける最中、魔王軍の討伐に出向いていた勇者一行。


その彼らが帰って来た。
特に国民から英雄と称えられているのは大賢者の称号を得たエリオルだった。


「私を迎えに来てくださったのね!」

王宮に帰国した後に噂が流れた。
元は隣国出身であるが、実は侯爵家の人間だとか。


当初隣国の格下の貴族だと馬鹿にしていたのにバーバラは手のひらを返した。


なのだが――。


「あの女!絶対許せない!」


事態は思わぬ事態となるのだった。


栄養となった後にエリオルは隣国に招かれ数日を過ごしや後に帰国したのだが、その隣には一人の少女がいた。


聞けば隣国の貴族令嬢を婚約者に選び国に連れ帰ったのだから。


「どうして私ではないのよ!あんな何も持っていない女が!」


ヒステリックに叫ぶバーバラを冷めた目で見る。
だけど侍女もいら立っていた。


(何故あんな女が!)

バーバラが気の毒だから不快に思ったわけではない。
侍女もエリオルの婚約者の座を狙っていたのだから。


なのにぽっとでの女がちゃっかり婚約者の座に収まったのが気に入らなかった。


だからバーバラが下っ端侍女に命じて散々嫌がらせをしたことを知っていたが、何もしなかった。
むしろいい気味だと思った。

下級貴族の分際で大賢者の婚約者になるなんて許せないと思った。


なのだが…


「何で平然としているのよ!ちゃんと嫌がらせの細工をしたんでしょうね!」

「はい!しました…ですが」

「寝所に毛虫を放ったり、ドレスを破いても平然とされていて」


ソフィアはどんな嫌がらせも屈しなかった。
怒りを露わにすることもなかったので、嫌がらせをする側が精神的に疲れていた。

その理由は…


「次上手くいかなかったら許さないわよ!」

「はい…」


バーバラに毎日のように怒鳴り散らされ、嫌がらせをするにも気力がすり減るのだから。
罪悪感もあるので心が痛いのだ。


「もうこんなこと耐えられないわ」

「そうよ。王宮でソフィア姫様は私に挨拶をしてくださったのよ」


クレミア公爵家に仕える侍女は主に顔すら覚えられていない。
名前で呼ばれることもほとんどなく人間以下の扱いを受けているのに対してソフィアは彼女達の顔をちゃんと覚えていたのだった。

それだけでなく優しく笑いかけて気遣ってくれるのだ。
そんな相手にこれ以上嫌がらせをするのは辛いと話していたのだった。


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