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第二章
16騎士の信頼
しおりを挟む王族は面倒な性格をしていた。
守る子世に概念がいいのはいいが、一度決めたら考えを変えないので非常に厄介である。
その一方で家族に甘い。
その絶妙なる匙加減をソフィアは利用した。
「見事ですソフィア様」
「これでいいのかしら」
「完璧です」
騎士団団長は拍手を送った。
あの王女を大人しくさせたソフィアは間違いなく賢者の姫と言っても過言ではない。
「お義姉様は弱い者を守る事こそ美徳とされているわ」
「悪い事ではないのですが…行き過ぎて」
「ですが、辺境地の貴族からは評価が高いのでは?」
「はい」
基本騎士は弱気を助けることこそ美徳だ。
特に辺境地の騎士はその考えに重きを置き、ローゼマリーを高く評価しているとのことだ。
「貴族派を黙られるのは王族派を固めたい。でも最優先は辺境地です」
「え?」
「他国の侵略を防ぐのは北の領地。彼らが味方になってくれればパワーバランスが取れます。私の辺境地の貴族ですから」
中位貴族でもパワーバランスのとり方は熟知している。
「貴族派は王都…宮廷貴族を固めるでしょうが…辺境貴族を野放しにしているなんて甘すぎます」
万一国が他国から侵入したときに必要になるのは軍事力だ。
国を守る力を持つとすれば辺境貴族となるのだから、協力は必須だ。
「ソフィア様、貴女様は軍師でございますか?」
「はい?」
「あの二人ではまず考えつかぬでしょう」
思った以上にソフィアは聡明だった。
騎士達はこういう人を待っていたのだった。
「このままあの馬鹿親子を…」
「団長!一応王家です」
「そうだったな。お二人を止めてください」
彼らは主君にも遠慮がない。
これまであの二人に振り回されてきたのだから当然と言えば当然なのだが。
「できるだけ努力します」
「「「お願いします」」」
騎士団一同はソフィアに望みをかけたのだった。
それはすなわち、騎士団一同はソフィアに騎士の誓いを果たしたも同じ意味だったのだった。
「流石だなエリオル」
「嬉しくない」
「騎士の心を掴むとはな」
「俺以外の男の心を掴んでほしくない」
何所までも心の狭い男、エリオルは心底嫌そうにしたいたのだった。
しかし翌日から近衛騎士数人がソフィアの声になったのは別の話だった。
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