聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

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第二章

11公爵令嬢の顔

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王女ローズマリーにとってバーバラは水と油の関係だった。
生まれながらに王女であり、バーバラと正反対の立場でありながら姫らしくなく、かといって周りから疎まれることはない。


騎士団からは慕われ、女性騎士の憧れの存在でもある。
公爵令嬢となった後もローゼマリーは壁として立ちはだかることが多かった。


別にローゼマリーはバーバラをライバル視していない。
バーバラが一方的にライバル視しているだけにすぎないのだか。


「あのクソ王女も気に入らないわ」

誰もいなくなった部屋で鏡に向かって睨みつける。

バーバラは時折鏡に向かって話しかけるのだ。
侍女達は何も言わないが時々大丈夫かと心配しているのだが。

「一番美しいのは私なんだから…誰にも負けないわ」

欲しい物はどんな手を使ってでも手に入れる。
他人の物であろうともお構いなしのバーバラは手段なんて選ばなかった。



「大賢者の婚約者になるのは私よ…田舎貴族令嬢に相応しくないわ」


自分こそが相応しいと信じて疑わなかったバーバラはあきらめるなんて考えがさらさらなく。
その日、侍女を呼びつけ仕立て屋を無理やり呼ぶよ命令し、豪華なドレスを新調させた。





「見てバーバラ様よ」

「なんて豪華なドレス」

「それにご覧になって…あのネックレス」


王宮を歩くバーバラを遠巻きに見る令嬢は美しく着飾り数名の侍女を従えるバーバラを見て距離を取る。


「ごきげんよう」

「ごっ…ごきげんようバーバラ様」


王宮内では身分の高い人間から声をかけることはできるがその逆はない。
声をかけられた令嬢は頭を下げてそのまま去って行く。

その姿に気を良くしてそのまま広間に向かいエリオルの姿を探す。


「エリオル様はいないのかしら」

「本日は午前から王宮内で執務のはずです」

「なら何故ないのよ!使えないわね」

「申し訳ありません」


侍女をしかりつけ、人目あるのに罵倒をするバーバラは王宮の侍女からも評判はかなり悪い。


(まったく何所にいるのかしら…)


苛立ちながらエリオルの姿を探しながらようやく見慣れた後姿を見つけて声をかけようとした。


「エリオルさ…」


しかし、その隣には言うまでもなくソフィアがいた。
バーバラとは異なりシンプルなドレスを着ていたので内心でバーバラは笑った。


(フッ…なんてみすぼらしいの)


まるで灰かぶり姫のようだと思い、余裕の笑みで声をかけようとした。


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