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第二章
9隣国の風景
しおりを挟む汐風が心地よく、窓から見える景色がとても美しい。
空の旅でも目にしたが、幻想的な風景が広がっていたが、王宮から見る景色も美しかった。
「ここから町が一望できる。気に入ってくれたか」
「はい。ですが、こんな立派なお部屋を」
「仮住まいだからな。気にするな」
ローゼマリーはすぐにソフィアの部屋に案内した。
とは言え一時的なのだが。
「ここがお前の第二の実家になる。いつでも帰れるようにしておく」
「ありがとうございます」
「遠慮はいらぬ。どうせ侯爵家もすぐ近くだ。夕飯狙っていくからな」
「毎日来る気か!」
「良く言うだろう?スープの冷めない距離が程よいと」
ニヤリと笑うローゼマリーにげんなりする。
「ちなみにだがスープの冷める距離が正しいぞ」
「うるさいルクス!」
ローゼマリーの間違いを訂正するもルクスは何時ものように八つ当たりを受けてしまう。
「絶対新婚旅行は国外にしてやる」
「エリオル。例え異国でも同行してくるんじゃないのか」
「どんまいだな」
「ルクス、殴っていいか?ユリファット、君もその目を止めろ」
既に最悪な新婚生活が想像できてしまう。
「まったく男はドーンと構えればよいのだ。ソフィア、お代わり」
「はい、ただいま」
「陛下も普通にくつろがないでください!何で王族は皆面倒なんだ!」
堂々と部屋でお菓子を平らげる国王。
彼も無類の甘党だった。
「しかしこの菓子は実に美味い」
「親子そろって味覚が似ているのですね」
現在お茶のお供のお菓子は決して豪華なお菓子ではない。
素朴なお菓子であるが、フリーレン王国では高級なケーキなどよりも素朴なお菓子が好まれている。。
「本当に美味だな」
「王宮で食べた菓子はもっと美味でした。特にビスケットは最高でした」
(一番庶民的なお菓子なんですけどね)
ローゼマリーが好んだのは主にパン生地を使ったものだ。
パイやキッシュ等を好んだ。
「戦時中に食べた葡萄パンは奇跡のパンでした」
「ふむ、私も戦場に出て戦いたかった」
「王が何を言いますか」
エリオルは根っからの戦闘マニアである国王に頭を抱えた。
その血をしっかりローゼマリーも受け継いでいるのだからたちが悪い。
「和やかな時間のところ、申し訳ありませんが」
「まったくせっかちな男よ。公爵令嬢の事であろう?」
「はい」
ただお茶会を楽しみに来たわけではない。
先ほどのやり取りを見て、注意を促しに来たのだ。
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