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第二章

7勘違い令嬢

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「そんなの嘘だわ!」


完全なる一人芝居だ。
あれだけハッキリ言われたのに、納得しない。

「彼女は…」


「貴族派の侯爵令嬢のクレミア公爵令嬢のバーベラ嬢だ。思い込みは激しく貴族絶対主義者。そんで欲しい者は他人の者だろうとお構いなし」

「はぁ…」

ソフィアも社交界の令嬢を見てきたが、ここまで空気が読めなく傍若無人な人間は初めてだった。


「エリオル様、おかしなことを申されますのね?貴方は高貴な方ですのに」

「少し前までは平民だとか馬鹿にしていたくせに。本当にゲンキンな女だな」

「お黙りなさい!」


耐え切れなくなったルクスが冷たい口調で言い放つもバーベラは睨みつける。


「人の価値は血筋では測れないよ。それに血筋だけで言うなら俺の血の半分は平民だ。祖父だって純粋な貴族じゃないだろうに…この国に純潔の貴族が誰だけいると思っているんだ」

「高貴とは心にありだ。お前は心もしょぼく高貴さなど一滴もないだろう?まぁたなぼた公爵令嬢だからな」


「私を侮辱する気ですの!」

「そうやって声を荒げる所だ。言っておくがソフィアは先祖代々の貴族だ。母君は仙女とも呼ばれる方で父君も貴族の血筋だ…どこぞのにわか姫と違ってな」


(持ち上げ過ぎなのような気がするけど)

ソフィアの祖先は確かに貴族だ。
だが決して身分が高いわけでもないのだが、血筋を拘る人間は先祖代々貴族であることにこだわるのだ。


「俺は幼少期に彼女の父君に相応しい地位を得た後に結婚を許してくれると言われた。だから侯爵の爵位を引き継いだんだ。この国に留学したのも彼女と一緒になるためだ…俺の愛しているのは一人だけだ」


ソフィアの手を握り離すまいと宣言する。

「そんなの…おかしいわ!だって…」


わなわなと震えながら涙目になるも、エリオルは慰めの言葉も言わなかった。


「バーベラ!」

そこに中年ぐらいの男性が駆け込んできた。


「お父様!」

涙目の娘を慰めようとする。


「これはなどういうことだ」

「どうにもこうもない!公爵の娘が私の娘に暴言を働き国から出て行けと皆の前で申したのだ」

「は?」

「しかもこの度の戦争で物資を無償で提供してくれた令嬢だ。そなたの領地にも支給してもらっていたであろう?薬草を…」

「なっ…何ですと」

「えっ?」

バーベラはソフィアの事を何も知らない。
確認もせずに身分が低い侍女だと思い込んでいたのだ。


知った時は既に遅かった。


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