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第二章
5謁見の間
しおりを挟むひと騒動あったがとりあえず謁見の間に向かうと、大勢の貴族に見守られた。
(まるで品定めだわ)
ソフィアを見る視線は友好的な物ばかりではない。
ある程度は覚悟をしていたが、ここまでとは思わなかった。
不安を感じるソフィアのを手をエリオルは強く握る。
「堂々として。君は何も悪くない」
「エリオル」
「俺が選んだんだ。誰にも文句は言わせない」
エリオルの言葉に我に返る。
ここに来ることを選んだのはほかでもないソフィア自身だった。
「ごめんなさい。大丈夫よ」
「無理をしなくていい。特にあの寄生虫は慣れないからな」
(寄生虫…)
エリオルに対して熱い視線を向けている貴族令嬢達の事を言っているようだが、エリオルからすれば害虫の類だった。
「無理もないな」
「ルクス?」
「留学当初は男爵家の息子だと散々馬鹿にしたくせに祖父が侯爵と知ったら手のひらを返したんだ」
「それは…なんというか」
「しかも大戦の英雄になったエリオルは優良物件だからな」
もう何も言い返せない。
男爵家の令息だった頃は散々罵倒を浴びせられ侮辱された過去を思い出せば不愉快だろうと思ったが。
「まぁ、あいつはお前以外に興味ない」
「えっ…ありがとう」
「なのに自分達にはチャンスがあると思う時点で図々しい」
「ルクスも言うわね」
「女の恐ろしさを知ったからな」
ソフィアにとってルクスは大事な友人で兄代わりでもある。
幼い頃から何かと面倒を見てくれた気心知れた人物であるが、こんな辛口な事を言うことは稀だった。
「俺は相手を選んでんだよ」
「そうなの?」
「お前はある意味箱入りだ。ここは魔の巣窟であることを忘れるな…危険が多い」
「解ったわ」
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「そうね…」
中位貴族であろうとも社交界で女の争いがどれだけ恐ろしいかある程度は知っている。
噂を流しありもしないことをでっちあげられ糾弾だれたらどうなるか解っているからこそ気を引き締めないといけない。
「まぁ、エリオルが近づけさせないだろう」
「ねぇ、ルクス…」
ソフィアはルクスに何を聞こうとした時だった。
大勢の中から一人の貴族令嬢の声が響く。
「エリオル様ぁ!」
まっすぐにこちらに向かってくる貴族令嬢にルクスの表情は険しくなるのだった。
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