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第二章
4恐ろしき血
しおりを挟む現役をすべてかければ失神。
最悪の場合人であれば大惨事になるのだが、二人はありえないほどぴんぴんしている。
一瞬だけ眠気を誘った程度だ。
「王家は超人の肉体を持つのかしら」
「いや、あの二人が異常なんだ」
「本当に恐ろしい親子だな」
王家のすべてがあの二人と同じにすれたくない。
そうなれば他国の侵略等簡単に防ぐことができると思った一同はうんうんと頷いている。
「国王陛下、いい加減にしてください」
「そうですぞ!何度王宮を壊したら気が済むのです!」
ローゼマリーと国王を抑え込む騎士達は切実な思いで説得し、とりあえずは落ち着きを見せた二人は仕切り直しをした。
「すまん…ソフィア嬢。無礼を許せ。そなたを歓迎する」
「当然です父上。今日からソフィアは私の妹になるのです」
「うむ!」
「よろしくおねがいします」
あっさりと認められたことに驚きを隠せない。
しかし他の者は反対しているだろうと思ったのだが…
「ソフィア様!」
「はっ…はい」
国王の傍に控えていた中年の騎士がソフィアの手を握る。
「どうか…どうか姫様をまともな姫にしてください」
「はい?」
「淑女にだなんてこの世が滅んでも不可能な願いは申しません」
「せめて普通に庭を歩き、ダンスを嗜みお茶を飲む令嬢に」
「男を見て決闘を申うしこむようなことがない姫にお願いします!」
近衛騎士達も何故か涙目で訴えた後に揃って土下座をされてしまう。
「お前達どんだけだよ…」
「ルクス様、このままでは姫様の悪評が広がるばかりですぞ!」
キッとルクスを睨む近衛騎士。
彼らは常日頃からローゼマリーの傍にいるので本気で心配している。
「このままでは不名誉な噂ばかり…故に隣国の癒しの姫を養女に迎えると伺って安心したんです」
「陛下は亡き王妃陛下以外とは伴侶を持てませんから」
(持てない?持たないじゃなくて?)
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同時に亡き王妃は相当忍耐力が強かったのだと思った。
「ちなみに亡き王妃陛下は敵国の姫で、当時は国王陛下の国を打ち取ろうとした姫将軍だ」
「はい?」
ようするに夫婦そろって狂闘士ということになる。
「どうか…なにとぞお願い申し上げます」
「「「よろしくお願いします!」」」
騎士団一同に土下座をされ、ソフィアは居た堪れない気持ちになるのだった。
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