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第二章
2王宮
しおりを挟む王都に到着してすぐに海の上を馬車が走った。
「これは…」
「精霊の力だ」
馬車の下にキラキラと何かが光っていた。
よく見ると小さな光の線路ができているのが解った。
「これが我が国の加護だ。私は水と風の加護をいただいている」
「まぁ…」
「我が国では貴族に限らず魔力を有する者が多い。ただ強い魔力があっても制御できない者が多い故に王家家の者は他者の魔力を抑え込めれるんだ」
「お前は腕力で抑え込んでいたがな」
「そうか、まずはお前を抑え込んでやろうか」
「言いながら殴るんじゃねぇよ」
「止めないか二人共」
口は災いの元とだと言事をまったく学ばないルクスは早々にしてローゼマリーに殴られる。
「まぁ雑談はさておきだ。王宮では父上が出迎えの準備をしている」
「え?国王陛下自ら?」
「ソフィアの事を手紙で報告しているからな。楽しみにしているだろう」
「どっ…どうしましょう」
いきなり国王陛下に合うなんて恐れ多いと思った。
自分にとっては雲の上の存在の相手で粗相をしてしまったらどうしようかと思う。
「父上は細かい事は気にしない。大雑把だからな」
「あれを大雑把で済ませられるのか」
不安を抱きながら馬車は王宮の中に入っていく。
「さぁソフィア」
「ありがとう」
優しくエスコートされ気恥ずかしくなる。
「王女殿下!お帰りなさいませ!」
「大賢者様!」
大勢が一行の帰りを心から喜んでいた。
特にエリオルがどれだけ彼らに慕われているか解る。
「さぁソフィア」
「はっ…はい」
皆に見守られながら馬車を降りて歩いていくと、一人の中年男性が仁王立ちしている。
立派な鎧とかなり目立つマントを身に着けていて悪目立ちをしている。
「あの人は…」
「何であんな格好で」
エリオルは視線を逸らせたが、じっとこちらを見ている男はそのままこちらに歩いてくる。
「そなたがソフィアか!」
「はっ…はい」
「待っていたぞ。私はフリーレン王国の国王トランプスだ!」
驚愕だった。
将軍かと思った男はこの国の王だったのだ。
「こっ…国王陛下」
「ああ…こんな時ぐらい王らしくしてくれ」
頭を抱えるエリオルに、ルクスも遠い目をしている。
「父上!」
「ローゼマリー!帰ったか」
「なんて暑苦しい恰好なのです。おっさんではありませんか」
久しぶりの帰還のはずが、一国の王と姫の挨拶とは思えなかった。
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