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第一章
25雑音
しおりを挟む中庭の方で騒いでいるのはヘリオスと聖女の取り巻きだった。
王宮の騎士団の詰めかけ、すぐにテレサに会わせろと騒いでいる。
「謹慎は解けたんだな」
「解けて早々に謹慎になるのかしら」
二人は何所か他人行儀だった。
ここで顔を合わせると面倒なことになりかねない。
しかし中庭を通らないといけないので困っていると。
「騒々しいな」
中庭に通りかかったのはローゼマリーだった。
「何だ、この国の貴族は発情期中の猿以下だな」
「なっ…貴様!」
ヘリオスは真っ赤になって逆切れするもローゼマリーに気づいていない。
何故なら完璧な変装をしているからだ。
髪の毛も纏め、中世的な男性と言われても疑いようがない。
「聞こえなかったか?貴様たちは猿以下だと言ったんだ…駄々をこねてみっともない」
「この私を誰だと」
「身の程を弁えろ」
本当に気づかない彼らは傲慢な態度を取ろうとするお。
「三秒以内に去れ。でなくば剣を抜く。いーち」
「ぎゃああ!」
「まだ一しか言ってないだろ!」
「私が言ったと言えばそうなるんだ」
なんという俺様なのか。
本人は一切の悪気も悪意もないのだから始末に置けない。
「警備隊よ。このまま刺していいか?国の恥だ」
「一応…聖女様の義兄でして」
「何?これがか?聖女の後見人を間違えたのではないか」
心からそう思うと顔に出すローゼマリーに一同の怒りのボルテージは最高潮になるも本人はその怒りに気づきもしない。
こっそり見ていた二人は。
「うわぁー、やったな」
「すごいわローゼマリー殿下」
エリオルからすれば別に特別な事ではない。
通常運転なのだが時と場所を考えて欲しいと思う程度だ。
対するソフィアはここまで清々しいまでに他人の神経を逆撫でできるのも中々いないと感心するのだが。
「もうよい。このままつまみ出す」
「「「え?」」」
「転移魔法!」
手をかざし一同を何所かに転移させてしまった。
「とりあえず馬小屋に転移した」
「馬小屋…」
「この時間は馬小屋の掃除をしているんですが」
「ちょうどいいだろう?」
一緒に綺麗にしてもらえと言うローゼマリーに騎士達は言葉を飲み込んだ。
その後に彼らは馬小屋に落とされ悲惨な状態になりながら邸に歩いて帰ることになるのだった。
余談であるが糞まみれな彼らは更なる噂を流される形となるのだったが、それはまた別の話だった。
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