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第一章
19許されない行為
しおりを挟むフリーレン王国の第一継承者として物心つく前から美しくも凛々しい王女であることを強要されてきた。
ロゼ―マリー自身も王女であることを誇りに持ち、世の男尊女卑を変えるべく努力して来た。
その努力が別の方向に進んでしまった。
凛々しい王女になるべく努力した後に男装の麗人とまで呼ばれるようになった。
女性を粗末に扱い道具のように扱う社会を許せなかった。
フリーレン王国の王配である父は控えめで物腰柔らかく優しい人柄だった。
女性を大切にできない男は人として失格だと教えていた。
妻を守れてこそ夫は一人前というほどレディーファーストなのだ。
王家の婚姻は政略結婚が主流であるが二人は恋愛結婚でもある。
娘の教育に関しては少しばかり個性的であったが、愛のある結婚をして愛のある家庭だった。
それ故に、他国の常識。
特に男ばかり優遇される法律に納得できまかった。
特にアルフェッカ王国の法律はローゼマリーにとって受け入れがたいものだ。
「何故男が守られるんだ…この国に限らず」
「言うな」
「浮気をしても責められるのは被害者である女性だと?普通に考えてもおかしいではないか。言わせてもらうが、メティス王女のやり方は甘すぎる」
「いや…甘くないだろ」
「黙れルクス。社会抹殺なんて生ぬるいわ!あの屑男を生き地獄にしてやらねば気が済まん。私の天使にこのような」
「何時からお前のものになったんだ」
エリオルはげんなりした表情する。
思い込んだら一直線の性格なのは今に始まった事ではない。
かといって周りの声に耳を傾けられないような愚かではない。
「エリオル、ソフィアの受けた屈辱は相当なものだ。我が国ならば針地獄だ」
「例えが飛び過ぎだ」
「平民、下級貴族ならそこまで重くならないだろう。だがな、国に貢献する貴族令嬢ならば別だ」
何所の国でも共通するのは子爵家以下は平民と似たような裁きを与えられる。
婚約騒動もそこまで大事にならないが、国に貢献する伯爵以上の立場にあれば別だった。
特にソフィアは聖女の世話係役に、王家に献上する果物やお菓子に酒なども任されている。
お茶会は王女にとっては政治の場だった。
ソフィアの役目はそれ程重く、重宝されてしかるべきだ。
「この度の同盟の際に我が国は資金援助軍事力の見返りが彼女の作った特産物や付与魔法の装飾品だ…その意味解るだろ?」
「ああ」
今回の同盟の利益を生んだのはソフィアだ。
その本人を侮辱する行為は許されないのだが、ローゼマリーは個人的にもヘリオスに嫌悪感を抱いていたのだ。
自分よりも弱い立場の人間を虐げる行為だ。
根が真面目なローゼマリーは幼いころから守り続けている言葉がある。
――義務と責任だった。
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