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第一章
16婚約破棄流行
しおりを挟む社交界で婚約破棄流行が到来した。
すべてというわけではないが、自分の立場を忘れて情のない行動をしていた男性側は少し気に入らなければ婚約を破棄をしていたのだが、女性側から婚約破棄を告げるようになった。
「婚約破棄承りました」
「は?」
「私もです。どうぞお好きに」
若い者達は影響を受けやすい。
特に成人してまじかの貴族令嬢はまだまだ子供だ。
後先を考えずに行動していることに気づかない。
難色を示したのは親や、国の代表的地位にいる貴族や官僚だった。
「エスリード伯爵。この度の騒動をどうしてくれるのだ!」
「社交界では婚約破棄が流行等と…一部では非婚同盟が結成されていると聞きますが。エスリード夫人はどうお考えか」
「それは…」
流行とはすぐになくなるものだ。
しかしドレスやお菓子ならばの話であるのだが、婚約破棄騒動はエスカレートして、平民の間でも噂になり、小説になり、ベストセラーとなっている。
しかしこんなものが流行してしまったら国の存続にも関わる。
「すべての始まりは貴女の息子が原因らしいな」
「あの…その」
ハリソンはごにょごにょしていた。
ハッキリしない口調に抗議に来た貴族達はイラっとする。
「何だ、ハッキリ言ったらどうだ?」
「ヘリオス殿」
「えっと…」
「何だ。普段は婚約者殿に傍若無人に振る舞い、乱暴な真似をしていたではないか」
社交界でもヘリオスの態度の悪さは目立っていた。
「公の場で婚約者を釣るし上げにしていた威勢のよさは何所に行った」
「そんな言い方…」
「婚約破棄宣言は貴族令嬢に死ねというのと同じだ。君は婚約者を殺そうとしたのだ…聖女を愛していると言えどあんまりな仕打ちはあんまりだ…まぁこれで婚約は白紙になって嬉しいだろうな」
「君はそれでいいだろう。だが他人まで巻き込むな!」
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ちょっとした意地悪程度しか考えていない。
「そんな大げさな…あの程度の事で」
「あの程度?」
ヘリオスは今までソフィアに好き放題、言いたい放題だった。
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以前から目についていたが。
「とにかくこの責任は親である責任を取っていただく」
「この事態をなんとかしてください。できないならば」
「相応の覚悟をなされよ」
怒ったまま彼らは出て行ったが、そのすぐ後に婚約破棄をされた聖女の取り巻き一同はエステリード家に押しかけて来たのだった。
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