聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

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第一章

15罪と罰

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人は常に物語を望む。
社交界でも若い世代に流行している真実の愛を貫く物語。

貴族社会は政略結婚が常。
自由に恋愛をして結婚するなんて許されるのは平民に近い貴族だけ。

だからなのか、若い世代は自由に恋愛を望む。
しかし我慢を強いられるのは女性だけで男性側は結婚後ならば好きに遊んでも咎められない。
婚前前にも婚約者以外にも女性と懇意な関係になってもそこまで責められない。

しかしルールは存在する。
婚約前に不貞行為を働いてはならない。

そして婿入りが決まっている相手側は、私欲のために財を使うことは非常識だ。
法律で禁じられているわけではないが、高位貴族であればあるほど、非難をあびる。



そこを利用しようと考えた。
そして尚且つ社交界では風紀を乱すことを許さない貴族もいる。

そこを利用し、尚且つ武人の一族は不貞を嫌う。
清廉潔白を第一とする貴族もわずかだが存在するのだ。



「浮気男には社会的抹消を行いますわ。あくまで被害者である貴女達は被害が出ないように」

「えっ…」

「情のある対応をして悲劇のヒロインになっていただきます。悪役は浮気男ですわ」

罪を犯したのなら相応の罰を受けるべきだ。
メティスは婚約者を裏切り続け、聖女にうつつを抜かす男に最大限の罰を与えるべく考えたシナリオは――。




「聞きまして?侯爵令嬢の一件」

「ええ、婚約者が聖女に現を抜かし、侯爵家のお金を勝手に使ったとか」

「辺境伯爵家も似たようなことが…」


ヘリオスの一件の後にすぐに浮上した聖女の取り巻きの男達の乱心を公にした。


「以前から婚約破棄をすると言い放っていたそうですが、令嬢側が受け入れたそうです」

「ですが令嬢側は婚約破棄ではなく円満な婚約解消を願い出たとか」

「まぁ、信じられませんわ。悪いのは殿方ではなくて」

「情けをかけたそうですわ」


口々に婚約者のいない令嬢達は非難の声を上げた。
しかも王宮でだ。


「お気の毒ですわ」

「聞けば、相手方がずっと傍若無人にふるまっていても令嬢側は婚約者の心をつなぎ留められなかったのはご自身の責任だと」

「浮気して裏切ったのは殿方なのに…所詮は女は道具なのですね」

「私達は耐えなくてならないのですね」


高位貴族に憧れ身分の方かい男性と婚約できることを夢見ていた令嬢は口々に言う。
婿を望んでいる貴族に至っては。


「やはり他人は信用できぬか」

「婿を取るのは止めよう」

「そうだ。財産を乗っ取りやりたい放題されては困る」


等と言う声は日増しに強くなり原因となる男達は抗議されることになる。
その代表となるのがヘリオスを初め、聖女のとりまきだった。


そして一時、男側から婚約破棄ブームが発生していたのだがその逆に女性側から婚約破棄を告げるようになった。



多くの貴族は聖女のとりまきである男達の親に訴えるようになり、文字通り彼らは真実の愛により破滅の道をたどり、婚約者達に復縁を望むのだった。


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