聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

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第一章

14王女の助言

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王女宮に集まった令嬢達は揃ってメティスに頭を下げた。

実は今回の婚約解消はメティスが助言したのだ。
婚約破棄騒動の少し前から聖女に夢中になりおかしくなった婚約者を切り捨てようと考えていた。


彼女達の父親が婚約を白紙に戻そうと考えていたのだが、男尊女卑の世界であるので女性側が悪く言われるのだ。
国の法律も女性側に不利だった。


浮気をしても男性は守られ女性は責められる。
裁判をしても、世間は女性側を責めて傷つけ噂で殺される。

令嬢達は婚約破棄をすればリスクが大きい、家に傷がつくだろうし。
婚約者の親は認めないだろう。


「普通に婚約を白紙にしてはいけませんわ」

思い悩む彼女達にメティスは告げた。

「何故浮気をした男が守られますの?痛い思いをすればいいのですわ」

「ですが…」

「難しいかと」


彼女達はどうあがいても難しいのだ。
それでも家と領民の暮らしだけは守らなくてはならない。

悲しい事に貴族令嬢として、領主の娘として教育されたことにより心を殺すことに慣れていたのだ。


「それでよろしいのですか。声に出さないでいいのですか。耐えるだけでは解決できませんわ」

「それは…」


「私だって、あの屑男に復讐してやりたいです」


メティスは男尊女卑の世を変えたいと思っていた。
特に女性に行きにくい世を変えるためにも女性が我慢を強いられているのが問題だった。


「声を出せない令嬢の大半は立場の弱い方。ですが、貴女達は違うでしょう」


下級貴族の娘ならば声をあげても突っぱねられる。
けれど、辺境伯爵令嬢以上の立場なら状況は変わってくる。


「我が国の要である辺境伯爵以上の地位に就く方々は影響力が強い。そして他国ともかかわりがありますわ」

「私は…忘れてました」

「そうですわ。私達がここで諦めたら」

今ここで諦めてしまえば変わらない。
女性が虐げられる時代を変えたいと思いながら声をあげようとしていなかった。


「ですが、すぐには無理ですわ。それにリスクは最小限に抑えて奪い返せばいいのです」

扇を広げ腹黒い笑みを浮かべるメティスはまさしく悪役令嬢さながらの表情だった。


「あちらが男尊女卑の世を利用するなら私達は世間を味方につけましょう」

「「はい?」」


世間の声とは時として恐ろしく、社交界でも噂で人を殺せる程だ。

「真実の愛を利用すればいいのですわ」


あぐらをかいでいた男達に復讐するべくメティスは彼女達に芝居をうってもらうことにした。


裏切った男達に最高の復讐をするために。


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