聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

文字の大きさ
上 下
14 / 117
第一章

13婚約者達の報復②

しおりを挟む




ところ変わって学園のテラスにて。
ここでも同じくマーガレットと同じく、二人の男女が言いあう光景が広がっていた。

とは言え一方的に男が女性に縋り付いていた。

「待ってくれ、スカーレット!」

「しつこいですわね。愛する聖女様の元に行けばよろしいでしょう」

スカーレット・トレイル。
侯爵令嬢でありメティスの従妹に当たる人物だ。


スカーレットは聖女に夢中だった男の一人を婚約者に持ち、ずっと注意を乳母がしていた。
しかし婚約者はまるで耳を貸すことなく、聖女に嫉妬を抱くなんてみっともないと責められたのだ。

「だが…」

「侯爵家は私が継承することになりましたの」

「何だって!」

こちらもマーガレットと同じく、跡継ぎに恵まれなかったので婿を取ることが決まっていたのだ。

しかし聖女に夢中になり過ぎる姿を見てスカーレットの父親が難色を示したのだ。

「トレイル家は王家に忠誠を誓う騎士の家柄。あっちこっちフラフラする優柔不断な男には務まりませんわ」

「悪かった…もうこんなことは」

「戦場ではそんな言葉は通じませんわ」


必死に謝るもスカーレットはこれまで何度もチャンスを与えながら反省をすることがなかった婚約者に愛想をつかしたのだ。



「伴侶に関しては信頼のおける方を選びます。ですから聖女様と存分に愛し合ってください」

「スカーレット・・・ひぃ!」

「これ以上近づくならば首と胴体がバラバラになりますわよ」

愛用の剣で脅すスカーレットは内心で笑った。

(本当に情けない男)


聖女を守る騎士という立場に酔っていた婚約者はこれから騎士として生きていくことはできないだろう。
ヘリオスが見せしめになってくれたおかげでもあると思っていたが。


聖女に夢中になっている婚約者に報復してはどうかと助言してくれた人物がいたのだ。



「無事に婚約が白紙に戻って良かったですわね」

「「ありがとうございます王女殿下!」」


そう、二人に助言をしたのはメティスだった。


「私は浮気程度ならここまでする気はありませんでしたわ」

「私もです」


二人は政略結婚を覚悟していた。
結婚後は愛人の一人や二人は目を瞑ろうとも思っていたが、あまりにも自制心がなく、私用に浪費を続けたのだ。

「当家のお金を使いこむような男は信用できません」

「あんな自制心のない男に家を任せるなんてできません」

二人は元婚約者に対する信用はゼロだった。
だからこそ婚約解消をした後に清算するつもりだった。

ただ婚約破棄ではなくあくまで円満な婚約解消に持ち込んだのには理由があるのだ。


しおりを挟む
感想 130

あなたにおすすめの小説

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

下げ渡された婚約者

相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。 しかしある日、第一王子である兄が言った。 「ルイーザとの婚約を破棄する」 愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。 「あのルイーザが受け入れたのか?」 「代わりの婿を用意するならという条件付きで」 「代わり?」 「お前だ、アルフレッド!」 おさがりの婚約者なんて聞いてない! しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。 アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。 「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」 「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

そのご令嬢、婚約破棄されました。

玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。 婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。 その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。 よくある婚約破棄の、一幕。 ※小説家になろう にも掲載しています。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

処理中です...