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第一章
12婚約者達の報復①
しおりを挟む婚約破棄騒動から二週間。
ようやく落ち着いたと思ったが、騒動はまだ続いていた。
聖女に現を抜かしてた男達は婚約者をないがしろにしたツケが回ってきた。
「待ってくれマーガレット!話を聞いてくれ」
「もう貴方とは婚約解消しましたわ。円満な婚約解消にして差し上げたのですから」
聖女に夢中だったのはヘリオスだけではない。
他にも取り巻きがいたのだ。
「私は底意地の悪い女ですもの。どうぞ真実の愛に生きてください」
「あれは…」
「ヘリオス様のように聖女様への愛を捧げてください。そうそう、貴方の家の援助したお金はすべて返金していただきます」」
マーガレット・バンホーテン。
辺境伯爵令嬢であり東北を牛耳る貴族で東帝国と繋がりがある家柄だ。
跡継ぎがいないことから伯爵家の次男を婿養子に迎える予定だったが、聖女に夢中になり過ぎて当主としてすべき勉強を放棄して、尚且つバンホーテン家のお金でテレサに貢いでいた。
「聖女様に使われたお金ですが、実家に請求させていただきます」
「なっ!」
「当然ですわ。愛する女性にプレゼントするのに他人のお金を使うなんて」
「他人って…僕は君の夫に」
「愛のない結婚は意味がない。不幸な僕を救ってくれた聖女なんでしょう?」
この言葉はマーガレットに何度も言った言葉だった。
「ご自分だけは悲劇の主人公だなんて。私だって好きで貴方と婚約するわけではありませんわ」
「何だって!」
「家の為に泣く泣く了承しました。ですがこんな使えない男だったなんて」
扇を片手に氷のように冷たい目で睨む。
「だから君は!」
「冷たいとおっしゃるのでしょう?どうぞ、ご自分の都合の良い女性の元でいちゃついてください」
マーガレットはそのまま去っていくが、腕を掴もうとするが。
「何をする気だ」
「貴様は!」
その手を掴まれひねり上げる。
「リンデン!」
「マーガレット様、お怪我は」
「ありませんわ。こんな男にこの私が遅れを取るとでも?」
「思っておりませんが、心配ぐらいさせてください」
まるで愛し合い恋人のように寄り添う姿に絶句する元婚約者。
「マーガレット!どういうことだ!」
「馴れ馴れしく名前で呼ばないでくださる?」
マーガレットは更に鋭い瞳で睨みつける。
「貴様は護衛騎士の…」
「紹介してさしあげますわ。彼はリンデン・バンホーテン。婿入りしましたのよ」
元は平民で、護衛騎士だった男だ。
生まれこそは貴族ではないが、バンホーテン辺境伯爵が手塩に育てた騎士だぅた。
「貴方が当主の仕事を放棄した後に父が彼を婿に考えてましたの。既に籍に入ってますわ」
「何だと!」
「当然でしょう?私も貴方を見習って真実の愛を追いかけることにしましたわ」
遠回しにリンデンが思い人だと告げているようだった。
「ではごきげんよう」
その後、社交界で彼事。
ノイン・シューゼントが侯爵家からも勘当されたと噂が流れた。
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