聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

文字の大きさ
上 下
12 / 117
第一章

11身勝手な親子

しおりを挟む



勝手に勘違いをしているヘリオスと母親。
クロウリーはもうダメだと思った。


それから数日過ぎても、ソフィアから連絡はなかった。
それどころかクラエス家から婚約破棄の正式な手紙が届き慰謝料請求とこれまで援助した資金の返上と共同経営をしていた事業の権利を返上するようとの書面が届く。



「どうしてだ!何故俺に詫びを入れないんだ」

「何様なのソフィア!」


謝罪の手紙が来ると思えば、ソフィアからの連絡はなく逆にソフィアの父親から今回の事は訴えるとまでいう始末だ。


普段から争いを好まない大人しい性格と思いきや、娘を傷つけたことは許せない。
婚約破棄の件は受け入れるということで、正式な手続きを取った後に慰謝料を請求するとのことだ。


「当然だろう。急いで弁護士に手続きを」

「そんな必要ありませんわ」

「そうです!何故!」


どうして解らないんだと思うクロウリーだが、話しても無駄だ思った。


「どうせ強がっているだけだ!本心では俺を愛しているはずだ」

「そうよ。調子に乗らせてはダメよ」

二人は似たもの親子だった。
無駄に自分に自信があって自分のすることに間違いないと思っている


それこそが勘違いであるのに。


「そうだわ、テレサはどうしたの?」

「テレサは王宮の聖女宮に」

「そう、昨日の事もあるし、ほとぼりが冷めればすぐにでも婚約の話をなさい。テレサも喜んでいるでしょう」

「それは勿論です」


勇者御一行の乱入によりうやむやになっているが、正式に婚約を発表したのだから話を進めなくてはならない。


「お前達、テレサは平民だろうが」

「伯父上、テレサは我がエスリード家の人間です」

「そうですわ。元平民だから差別するなんて…聖女として役目を果たしたのだから陛下より爵位と領地ぐらい賜れますわ」


何所までも欲深い二人にクロウリーは呆れてしまった。


(何所まで浅はかで馬鹿な者達だ)


聖女に迎える時にエスリード家の養女としたが、あくまで一時的だ。
テレサの身を守るには平民のままでは危険だという配慮だった。


「最初は何も知らない小娘だったけど、ヘリオスのおかげで貴族令嬢として最低限のマナーは身に付きましたわ」

「当然です」


「教育をしたのはソフィア嬢だろうが」

「基本を教えただけです。モノにしたのはテレサの努力です」


淑女教育や精神的なフォローはすべて丸投げしておいて二人は自分達が聖女育てて行って聞かなかった。
聖女の修業も淑女教育も上手くいかなかったらソフィアを責めていたくせにと内心で愚痴るクロウリーは愛想をつかしていた。


(もう終わりだ…)


婚約破棄の手続きと、慰謝料に関しては自分でなんとかしようと考えていた。


その一週間後。
本当の意味で痛い思いをすることになるのだった。

しおりを挟む
感想 130

あなたにおすすめの小説

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

下げ渡された婚約者

相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。 しかしある日、第一王子である兄が言った。 「ルイーザとの婚約を破棄する」 愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。 「あのルイーザが受け入れたのか?」 「代わりの婿を用意するならという条件付きで」 「代わり?」 「お前だ、アルフレッド!」 おさがりの婚約者なんて聞いてない! しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。 アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。 「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」 「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

そのご令嬢、婚約破棄されました。

玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。 婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。 その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。 よくある婚約破棄の、一幕。 ※小説家になろう にも掲載しています。

処理中です...