聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

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第一章

28貴族の務め

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真実の愛を貫き何もかも捨てて許されるなんて絵空事だ。
夢物語でしかない。

けれど、人は時に夢を抱く。


「私達王家は民の税金で食べています。その対価として国に尽くします。貴族も同じです。民を守る代わりに生活が保障されてますの」

「あっ…はい」

「貴族同士の結婚で争いを回避します。ですが個人の勝手で白紙にすれば、戦争になったり不利益で領民を飢えさせることになります…ですが世は男尊女卑。女性側に落ち度がなくても責められるのは殿方ではありません」

「そんな…」

「私は男尊女卑の世を変えたい。だから聖女である貴女にも女性の味方になって欲しいと願ってましたが…」


悲し気に顔をうつむかせ涙を浮かべるメティスに他の令嬢は賛同する。


「どうかそのようにお嘆きいならないでください」

「そうですわ。殿下一人で背負われないでください。私も次代の為に犠牲になる覚悟はあります。貴族に生まれた以上は耐えるつもりです」

「殿方は女など道具ですもの」


婚約者に不満を持つ令嬢達がメティスを庇うように告げる。

「おい!」

「そんな言い方は…」

彼らは晒しものになっている。

他の貴族もヒソヒソと囁く。

「そういえば彼らも…」

「婚約者を無視して聖女に褒め称えいたな」

「そもそも聖女に貢ぐなんて最低だろ」

その中にはまともな貴族も多かった。
いかに聖女であっても限度があるのだが、気づかなかった彼らは公の場でも聖女に愛を囁いでいた。


「王女様…私は」

「聖女テレサ、この場で弁解があるなハッキリお言いなさい。皆も耳を傾けるように」

凛とした声が響き、周りは静かになる。

「私は清らかな心を持たぬ者が聖女に選ばれるとは思いません。ですが、魔女狩り事件等も考慮しています」

「魔女狩り…」


大勢が魔女だと言い、悪女に仕立て上げることだ。
本人は知らない間に冤罪で罰せられ最後は殺されるという恐ろしい出来事があった。

現在でも、罪をきせられた善良な市民は少なくないのだ。


「聖女テレサ、貴女は不貞行為をしましたか?」


「女神に誓ってありません」

メティスの問いかけにはっきり答える。

「では、ヘリオス・エスリードと恋愛関係にありましたか」

「テレサ!」

「黙りなさい。貴女に発言の許可を与えておりません。洗脳の疑いがあります。この男を拘束なさい」

「なっ…お待ちください!」

警備隊がヘリオスを抑え込む。

ついでに聖女のとりまきだった男達も同じように取り押さえられる。


「さぁ、聖女テレサ」


メティスの言葉にテレサは告げた。


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