聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

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第一章

27聖女の役職

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聖女とは混沌の時代に女神に使わされる存在。
逆を言えば役目が終わったらちゅうぶらりんとなるのだ。

しかもテレサは平民だ。
王宮で生きていくのは酷だろう。

「通常聖女は役目を終えた後は役職は返上となる」

「なっ…」

「隣国の聖女は戦後早々に聖女の地位を返上している」

お役御免という言葉にヘリオスは絶句した。
納得できるものではないのだが、国王は続ける。

「しかし聖女の存在は重要だ。象徴として国の為に働いてくれるならば王としてもありがたい」

「では…」

ヘリオスは安堵した。
しかし象徴という意味を忘れている。

「聖女から聖職者の道というこよになります。出家していただくのが望ましい」

「出家…そんな!」

「ヘリオス。そなたは聖女テレサを愛していると言ったが…聖女とは恋愛も結婚もできん。神の花嫁だ。純潔を守らなくてはならないのは当然だ」

「えっ…」

「それでも聖女に操を捧げると申すのだろう。ならばそなたも出家せよ」


大勢の前で聖女テレサを愛していると何度も告げた。
傍にいる婚約者も似たような発言をしていたのだから周りは冷や汗を流す。

しかし当の本人は状況が呑み込めていない。

というか他人事のような表情をしている。


「だが、あくまで当の本人は置いてきぼりですわ」

「むっ…そうだったな」

あくまで当人であるテレサを無視して話を進めていることを指摘される。


「聖女テレサ、貴女はどうしたいか聞きたいわ」

「王女様…」


「婚約破棄騒動に関しても貴女は望んだのかしら?これまで指南役として世話係を買って出てくれた姉のような存在から婚約者を奪い不貞行為を働いたのは本意なのか」

「不貞行為!」

明け透けな物言いのメティスは容赦がない。
流石に公の場で言うべきではないと護衛騎士団長が止める。

「姫様、そのような…」

「お黙りなさい。この度の一件で社交界の風紀が乱れてますのよ?清らかな存在の聖女が複数の男と関係を持っている…聖女ではなく性女だという噂が出ています」


「王女殿下あまりにも…」

「私は発言を許した覚えはありません。事実を確認しなくてはなりません。最悪女神の裁判を行いますか?」

「女神の裁判!」

文字通り女神に判決を頼むのだがその場合聖女は晒しものになる。

「聖女テレサ、貴女は姉から婚約者を奪い、傷物令嬢として死ぬまで後ろ指をさされ簀巻きで放り出されることを解ってましたの?貴族令嬢は婚約破棄をされれば一生傷物で人目を忍んで生きていく意味を理解していて?」

「傷物…」

「そうなったらその令嬢は年配の…孫いるような男性の愛人として迎えられ生涯日陰の存在」

テレサは真っ青になる。
本当に何もしらなかったのだ。

同時にヘリオスの行動はどれほど酷いのか思い知るが、さらいメティスは追い打ちをかけるのだった。


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