聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

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第一章

プロローグ

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聖女伝説。
この国には様々な英雄伝説がある。

聖女伝説も同じようなものだ。

女神に力を与えらえた聖女が聖なる祈りで国を守ると。
その力は未知なるもので、聖女に選ばれる乙女は平民だったり貴族だったりと色々だ。

その聖女を王宮に迎える時に、決まりごとがある。
まず高位貴族や王家に近すぎる者は後見人になる事はできない。

聖女を利用する可能性があるからだ。
逆に身分が低すぎるのも問題となるので階級は伯爵家ということになる。


今から五年前、戦争が続く最中。
一つの町から光が放たれた。

神殿に仕える巫女達は聖女が現れたことを知らせた。

今生の聖女は平民だった。
急いで使者を送り、聖女を迎えることになったがその聖女は金髪に翡翠の瞳を持つ美しい容姿をしていた。


王家はすぐに召し上げようと考えたが相手は平民。
しかも後ろ盾を先に用意することにしたのだが、後ろ盾に選んだ家が伯爵家だった。

大貴族ではなく商人貴族だ。
なまじ大貴族の家に迎えるのは危険があったのだ。


しかしいきなり連れてこられて聖女ですと言われ委縮してしまった。

そこで白羽の矢が立ったのが似た年頃で、その家の嫡男の婚約者であるソフィアだった。


「初めまして聖女様、私はソフィア・クラエスでございます」

「俺の婚約者だ。後に君の義姉になる」

「・・・・」

「お会いできて光栄です」


最初こそは警戒していたテレサにソフィアは無理に話しかけることもせずに見守った。
その努力の末にテレサは。

「私…ちゃんと話せなくて」

「まぁ、そうでしたの」


二人きりの時にぽつりと言教えてくれた。

「私の言葉…訛っているから変だと」

「まぁ、そんなことはありませんわよ。ですが貴族は少し面倒なんです」

「え!」


ソフィアの言葉に驚くテレサ。
クラエス家は何代も続く貴族の家柄であるが、騎士の家柄だった。
親族は百姓貴族で果物農園で利益を得ているのだ。

「私も田舎貴族でしたの。ですから苦手でしたわ」

「そうなんですか」

「領地はぼぶどう園なんです」

「私も!」


共通点が多く二人は仲良くなった。
しかし三か月程でテレサは王宮に呼ばれてしまい別れの時は泣いていた。


「テレサ!大丈夫だ…すぐに会いに行く」

涙ながらに手を伸ばすテレサにヘリオスは守ってやらなくてはならないという使命感が芽生えたのだ。


「テレサ…」

元より弱弱しさを持つテレサを可愛く思っていた。

なのだが、その思いは日に日に膨れ上がるようになった。



その後、ヘリオスの心に変化が訪れたのだ。



「ソフィア、今度の週末はテレサの誕生日だ」

「そうね」


最初こそはほほえましいものだったが。

「明日のパーティーはテレサをエスコートするから君は父親に頼んでくれ」

「解りました」

テレサに対して行き過ぎた行動に出るようになる。

その所為で噂を流されてしまう。


婚約者がいるのに父親にエスコートしてもらう日々。
周りにはあらぬ憶測を呼ぶ中、王家主催のパーティーでも。


「エスコートできない?」

「ああ、テレサの・・」

「ですが今日は父は…」

「君は一人で大丈夫だろう?テレサは俺がいないと」


もう慣れてしまったその言葉。

「テレサ…」


ヘリオスは聖女であるテレサに恋をしてしまっているのだ。


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