身内に裏切られた理由~夫に三行半を突きつけられたら姑が奇襲をかけて来ました!

ユウ

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75.誘拐

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これはどういうこと!
どうして愛がこんな姿を晒されているの!


制服のワイシャツは胸元がギリギリ見えるぐらいまで破れ、顔は殴られた痕。
血が少しついていてゾッとした。



「何だこれは…」

「愛ちゃん!」


スマホの画面を見たお義母様が絶句した。
お義父様も言葉を失っている。


『うっ…』


顔色が悪い。
もしかして何度も殴られている?

貧血気味の表情をしていていてもたってもいられなかった。


『よぉ、久しぶりだな』

「これはどういうことです」


電話口から聞こえて来たのは、今最も会いたくない人で声も聞きたくない人だった。


『随分だな、夫に向かって』

「貴方とは既に離婚が成立していますので他人です」

『だが、元に戻るんだから問題ない』


元に戻る?
何を馬鹿な事を言っているの?

「貴方は莉麻さんと再婚したんでしょう?子供もいるのでしょう」

『あんな女、俺の妻に相応しくない!贅沢ばかりして無駄に金を使うわ、役には立たない!俺の生活をめちゃくちゃにするだけだ!』

「なんてこと…」


自分の都合で身勝手な事をしておきながらなんて無責任なの。
不倫をして、本当に愛する人と一緒になりたいと言って私にあんなことをして愛を散々傷つけて。


『なぁ、やりなおそうぜ?俺達は夫婦としてなぁ?』

『お母さん!こんな男の言う事なんて聞く必要ないわ』

『うるせぇ!』

『きゃあ!』


目の前で愛が殴られ椅子に座った状態で地面に叩きつけられる。

なんて事を!


『てめぇは黙ってろ。お前さえいなければ良かったんだ。お前なんて生まれてこなければ千歳も不幸な目に泡なったんだ。出来損ないの娘なんて産みやがって』

『私だってアンタみたいな紐男を父親に持ちたくなかったわ』


画面越しにも解る。
愛は恐怖よりも怒りを抱いている。

『てめぇ!』

「やめてください!愛に乱暴な真似は…」

『屑男が!アンタなんて誰からも愛されないわよ…あんたみたいな男の方が必要ないのよ!』


だめだわ。
愛も頭に血が上り、あの人を挑発している。


『ぶっ殺されてぇのか!』

服が裂ける音が聞こえた。


『そんなに回されたいなら増してやるよ。二度とそんな口がきけない体にしてネットに流してやる』


流す…


ネットに?


何を何て聞くまでもない。



「貴方は自分の娘に!」

『こんなクソガキなんていらねぇんだよ。なぁ千歳…やり直そうぜ?俺とお前と二人きりで』

狂っている。
この男は頭がおかしくなったのだと思った。


『てめぇ…ふざけんなよ…ぐっ!』

『きゃああ!北条さん!』

「北条君!」


血だらけで倒れている北条君が踏みつけられる。


『このままだとこいつ死んじまうぞ?』

「何が目的です」


なんとかしないと。
早く二人を助けないと危険だわ。

北条君は血を流し過ぎている。
下手すれば命の危険性もあるし、愛を晒し物にされるなんて耐えきれない。


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