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72.保護者
しおりを挟む「お前馬鹿だろ!」
「馬鹿だわ」
もう何とでも言ってくれ。
翌日、行きつけの喫茶店にて俺は二人に言われた言葉に返す言葉がなかった。
「愛ちゃん…」
「今どきないわ。はいからさん時代じゃん」
「愛ちゃん、若いのに良く知っているな」
さりげなく仲良しな直人と愛ちゃん。
あの後、千歳さんは俺との交際を了承してくれた。
「まぁ、恰好は良くなかったが。お付き合いの次はこれだな」
「は?」
「おい、マジか」
晴れてお付き合いができるようになったので早速準備してみることにした。
「やっぱり最初は交換ノートだろう」
「ないわ!何時の時代よ!」
「うぜぇ!お前は全然成長していないよな!」
何故か二人は阿吽の呼吸で俺を怒鳴った。
そして交換ノートを捨てられた。
「じぃやさんシュレッダーよ」
「かしこまりました」
なんでじいがいるんだ!
「坊ちゃま、なんと時代錯誤な。老人会でもラインやメールをしていますのに。古いです。古詩ぎますぞ!じいはそんな子を産んだ覚えはありません」
「育ててもっらても産んでもらった覚えはない」
ハンカチをだしてよよよと泣くけど。
嘘泣きだってバレバレだからな!
「おい、このままだったらまずくないか」
「まずいわ。私がお嫁に行く方が早いんじゃない」
「失礼なそこまで時間はかからない。まぁ五年ぐらいは…」
「「長すぎだ!」」
何を言うんだ。
まずはじっくりとお付き合いした後に婚約して結婚に持って行くなら妥当だ。
「愛ちゃんが成人すまで結婚しない気か」
「そうだが…何か問題が?」
「お前馬鹿だろ。本当に馬鹿だろ。筋金入りの馬鹿だろ」
「馬鹿すぎるわ。あんまりにも馬鹿で泣けるわ!馬鹿すぎる」
二人して酷いな。
さっきから馬鹿を三回も連呼するなんて。
「鬼塚さん、私が成人する間にお母さんが病気になったらどうするの?他人のままじゃ同意書にもサインはできないし。お母さんは三十過ぎだよ?子供だってできないよ」
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そうか。
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そうだ。
失念していたが、今は少子化も問題されている。
愛ちゃんが成人した後じゃ俺達はアラフォーまっしぐらじゃないか。
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