身内に裏切られた理由~夫に三行半を突きつけられたら姑が奇襲をかけて来ました!

ユウ

文字の大きさ
上 下
60 / 87

60.左遷~良純side

しおりを挟む




ローンを抱えての生活でも大丈夫だと思っていた。

次のボーナスも入ればどうにかなるはず。



「君は別の支社に移動となる」

「は?」

「聞こえなかったか?君は移動だ。支社にな」


何故俺が支社に移動なんだ。
本社からの移動なんて左遷と同じじゃないか!

「支社にて、現在関わっているハンバーガー店の立て直しをしてもらいたい。無論これは辞令だ」

「私がそんな…」

「解雇にならないだけ有難いと思いたまえ!」


デスクを乱暴に叩かれる。
その所為で書類の山は床に落ちるが、部長の顔がまりにも恐ろしくて何も言えなかった。

「黒木社長を怒らせ、あげくの果てに社長の怒りは相当な物だった…解雇をしないだけ幸せに思いたまえ!君が会社に残りたいならば、与えられた仕事をこなせ。いいな」

「…はい」

拒否権はなかった。
ここで会社を辞めたとしても俺の務めるプラズマプライズは大手の企業だ。

解雇になったなんて知られたら、一流企業は雇って貰えない。
この会社にいるからこそ恩恵を受けていた部分もあるし、タワーマンションに住み続ける事もできなくなる。


なんとしてでも仕事を成功させなくてはならない。


俺が任されたのはかつては老舗パン屋で現在はハンバーガー専門店だ。
しかし、不況により経営が傾いたらしい。

三か月後に開催されるフェスで顧客から一番の評価を受ければ、持ち直す事ができる。


こんなものは楽勝だと思っていた矢先に、あの女がフェスに参加するのを耳にした。


楽しそうに笑い、パン屋で働く姿を見て怒りを覚えた。

あの女の所為で俺がこんな惨めな思いをしているのに!


「千歳さん、そろそろ店じまいにしましょう」

「はい店長」

「今度のフェスは俺達が優勝スよ!このアイデアは誰にも真似できませんって」

店にこっそり侵入し、俺は奴らのアイデアを盗む方法を思いついた。


多少は費用がかさむが、金を使って人を雇い、アイデアを盗んだ。

残念な事にレシピは盗めなかった。
何故ならパソコンにはメニューのデータはあってもレシピノートの字が汚くて読めなかったからだ。

だが、当日に同じ商品が安く売られていたら確実に客は俺達を選ぶだろう。

安全性なんて二の次だ。
貧乏人が望むのは安さと見た目の良さで味なんて解るはずがないのだから。



そう思っていたのに。


アレルギー症状を起こして病院に運ばれたり、食中毒を起こしてしまう事態になった。


そして俺は――。


「今回の責任は全て君にある」


部長に理不尽な扱いを受け、全ての責任を負わされることになるのだった。

会社は勿論解雇されてしまった。

しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~

矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。 隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。 周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。 ※設定はゆるいです。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

【完結】なぜ、お前じゃなくて義妹なんだ!と言われたので

yanako
恋愛
なぜ、お前じゃなくて義妹なんだ!と言われたので

誰でもイイけど、お前は無いわw

猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。 同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。 見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、 「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」 と言われてしまう。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

処理中です...