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54.難題
しおりを挟む次から次へと難題が降りかかりどうしたものか。
「お母さん、大丈夫?」
「ええ、大丈夫だと思いたいわ」
あの後押し切られてしまった私は困り果てていた。
社長に関しては。
「あらやりなさい」
だったし。
「キム夫人…じゃなくて社長は止める気もないみたいよね」
「ノリノリだったわ。傾いた商店街を復活させれば会社の宣伝になるとか喜んでいるし、商店街に関心を持っているのよね。市場とか新鮮だって」
「まぁ大富豪は商店街で買い物をしないもんね」
そう、キム夫人事社長は商店街に興味を示している。
現在日本では商店街が潰れているけど、昔はスーパーなんてなかった時代は市場や商店街で買い物をしていた。
社長は日本の古き伝統的物を守るべく商店街や市場は残すべきだと考えている。
なので、大手スーパーに対抗できる商店街を作る事に乗り気だった。
もし成功すれば会社の宣伝にもなるし、新しいビジネスに身を乗り出す気でもいるのだ。
「だけど、簡単ではないのよ」
「どうして?」
「スーパーの方が好条件がそろっているのよ。安さ以外にもね」
駅前のスーパー等は仕事帰りに利用しやすい。
安いだけでなく利用しやすいし、仕事帰りの時間を狙えば半額もしている。
対する商店街は一つの店を色々回らなければならないし、利回りが悪い。
価格もスーパーの方が良いし、買えば買う程安くなるお得なポイント還元に、チラシだってすごいわ。
「大手スーパーに、新たにできるモールに対抗するにはメリットを増やさないと」
「じゃあできないの…」
「現段階では難しいわね。例えば大手企業やマーケティングを手中に収めている人が商店街を残すメリットがあると判断してくれれば、モールの制作を阻止してもらえるわ」
どんなに顧客を増やそうとしても限度がある。
麦屋や丹波屋だけならばまだしも、既に工事の計画が進められているならば難しい。
「後は圧倒的な支持があればいいのだけどね」
「でも、商店街を拠り所にしている人もいるんだよ!」
「そう、そこなのよね」
大手スーパーは便利だけど、体の不自由な人や車椅子で入るには不向きだわ。
レジだって機械で行われるご時世故に、店員はお客様と最低限しか接しないけれど。
商店街では違う。
目の不自由な老人の方にも丁寧な接客ができるのだから。
「商店街の近くに住んでいるから買い物にも行けるのに」
「そうなのよね…」
商店街では体の不自由な人の家に届けるシステムもある。
んん?
「それだわ!」
「え?」
いい案が浮かんだ。
スーパーにできて商店街にできないセールポイント!
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