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31.廃業寸前のパン屋
しおりを挟むコンサルの仕事をしながら、趣味のハンドメイドを続け。
週末はサロンでハーバリストとして働きながら忙しい日々を過ごしていた。
けれど、とても充実していた。
ハンドメイドの仕事は趣味に近いし、コンサルの仕事はノートパソコンさえあれば何処でも問題なかった。
営業のノウハウを学びながら、仕掛け人として働くのは本当に大変であるけど。
今携わっているのはパン屋さんで、創業100周年を迎えている。
最近は外国産の小麦粉を使い膨張剤で膨らませるパン屋が増えている。
その方が見た目綺麗でふっくらしているが、昔からの調理法で作られているパンは天然酵母を使い、小麦も全粒子を使って体にも良く味も良い。
ただしコストがかかり過ぎるのと、派手さがなかった。
どうにかしてかつての活気を取り戻したいと考えていた。
一番確実に売り上げを伸ばす方法は女性客。
特に働き盛りの女性と主婦をターゲットにするのがいいけど、値段が高いのでは難しい。
「セールスポイントがあれば…」
紅茶を飲みながら考えながら愛達におやつの準備をすることにした。
なのだけど。
「私、いい」
「え?食べないの?」
「私も…」
都ちゃんとなっちゃんがおやつを拒否し、紅茶だけを飲んでいる。
「どうしたの?今日は二人の大好きなメロンパンよ。こっちはプリンディニッシュなのに」
甘い物が大好物は二人は断固として食べようとしなかった。
「ダイエット中だから」
「私も…」
泣きそうな顔をしながら拒絶する。
「ダイエット?」
「そうよ!最近太って、こないだの身体測定がやばいのよ」
「私も制服のファスナーが…なのに!」
二人は愛を睨んだ。
「んー!美味しい」
「何でそんなに大食いの愛ちゃんは太らないのよ」
「細身で、肌も艶々…いいえ、お母様もです」
私の腰にしがみ付くなっちゃん。
「え?どうしたの?」
「細い…細いです。母よりも」
「何で、三食しっかり食べて最近は完食に麦屋のパンを沢山食べているのに太らないのよ!私なんて朝は抜きで昼はサラダで夕食はフルーツにしているのに痩せないのに」
「ええ!そんな無茶な事をしていたの?」
いくら何でも無理をしすぎだわ。
それどころか一日二食じゃ余計に太るんじゃ。
「都ちゃん、逆効果よ」
「え?」
「一日に一食、しかも炭水化物を抜くと貧血になったり、脂肪を燃やさないし、便秘にもなるわ」
万一痩せたとしてもリバウンドを繰り返すし、体に悪すぎるわ。
「それにサラダは体を冷やすから美容に悪いのよ」
「え?」
「ドレッシングをかけ過ぎると塩分を取り過ぎて、余分な水分を吸収してしまうし」
確かに愛は沢山食べるけど、バランスよく食べている。
何より間食にパンを食べているけど、全粒子のパンやライ麦パンを使っているから体に良い。
食べる時間も考えているけど、それ以上に運動もしている。
私もコンサルの仕事をしながら最近はパンプスではなくヒールを履いて歩いているから運動量が足りているのかもしれない。
その代わり必要に栄養補給はしているし、麦屋のパンの改善の為に、最近は全粒子を使ったパンばかり食べて、牛乳を飲まずに豆乳を飲むようにしているからなのかもしれない。
んん?
「それだわ!」
女性に受けるパンが思い浮かんだわ!
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