寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ

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28責任と義務

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王族貴族は国と民を守る義務と責任がある。
責任を放棄するのは罪だと言われている。


――ノブレス・オブリージュ。

この言葉は世界共通となっている。
私達は民を守る義務がある。

その義務を放棄することは決して許されないのだから。


「やはり貴様には貴族の誇りもないのだろう」

「何ですって?」

「子供のころからわがまま放題で父親の権力でどんな願いも叶え手られてきた。おおかたその元婚約者も貴様など愛していなかった…その石像は二人離れないように手を握っている」


「ルリ様…」


「エリーゼ、こんな悪女に耳を貸すな。これはなるべくしてなったのだ」



ルリ様の言葉が心を打つ。
私が知る限りこの二人は絆があった。

恋愛感情よりもずっと強い何かを。


「王族貴族は民を守るのが役目だ。貴様は自分の役目を全うせず欲望だけを持ち続けた…そして王家に召し抱えられた。だがその後はどうだ」

「黙れ…」

「何もしてこなかったのだろう。だから破滅の道を進んだ」

「黙れ!」


「お前は自分で自分の破滅の道を選んだ。エリーゼに八つ当たりをするなど許されるか!誰も愛していないお前に誰が愛するか!」


ルリ様のまっすぐな言葉が私を救ってくれた。
これまでしてきたことは絶対に正しいのかと問われたら自信がない。

でも、これまで私は折り合いをつけて来た。
その都度、自分の選んだ道をまっすぐ進んできたのだ。

途中で間違いだったか?本当はよかったのかと思う時もあったけど。



「エリーゼは一度でも逃げたか!好きでもない男に嫁ぎ蔑まれ、最後は他国の騎士に下賜されたも同然でも一度でも自分の境遇を嘆いたか!」


「黙れ黙れ!」


「エリーゼと貴様の違いは挑んだか、逃げたかの違いだ。貴様は逃げ続けただけだ!敵前逃亡した貴様に幸せが巡るものか!」


「いや、若干違くねぇか?」


「そこは水を差すでない」




マクシミリアン様と教皇様の突っ込みは最もだけど。



でも言っていることは間違いではない気がする。
アラクネ様は確かに運命に翻弄されたかもしれないけど、役目を全うし幸せになる方法はいくらでもあったはずだわ。


なのに放棄してしまった。


「大方、お前の元婚約者も金の権力で無理やり婚約に結び付けたんだろうよ」

「そんなはず…」

「あら?私の調べでは貴方の婚約者は父親に売られたと聞いたわ。証言もあるわ…婚約に耐え切れず教会にお祈りに来てカウンセリングを受けたともね」

「嘘だ…嘘だ嘘だ!」


「教会で妙齢の女性と出会い親しくなっていたことから二人は愛し合っていたとも聞くわ」


「そんな話誰が信じるものか!」



オリヴィエ様様の証言は間違いないと思う。
実際教会で懺悔に来ていたというのは私も知っているし。

当初は顔色が悪かった。
でもある日を境に元気になったと聞いている。


私の専属護衛につく少し前のことだったけど。



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